修羅

□プロローグ
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20××年12月25日。

多くの人々が密集する日本の首都・東京では、夜空から雪が舞い落ちている。


加えて気温も低い。
冬の季節なのだから当然と言えばそこまでだろう。


冬独特の乾燥した空気。


肌を刺すような冷たさ。


そして降り積もる雪。


この季節を嫌うものは、少なからずいるだろう。


しかし、この季節ならではの行事がある。


それはクリスマスだ。


行われる日は12月25日、つまり今日だ。


もともとはキリスト降誕を祝うために聖誕祭を行う日だったらしい。


現在もそれが目的なのだろうが、若干異なっている。

だが、そんなことは深く考えないのが普通なのかもしれない。


家族で共に過ごすものもいれば、恋仲の相手と一緒に過ごすものもいる。


クリスマスをどう考えるかは人それぞれだが、年に一度しかない聖夜だ。


大切な者と共に過ごすのが普通なのだろう。


都内で人が最も多く集まる神城市も例外ではない。


街では多くの若者が集まっていたり、年配の人々が街を練り歩いていたり、子供たちは自宅に友人を呼んでパーティーをしている。


それぞれが独自の解釈で聖夜の一時を過ごしている。


近年、人口の増加や娯楽施設が増築されたことから、今年は例年以上に賑わっていた。


そんななか。




「嫌です、離してください!」


人気のない通りに、少女の声が響く。


「いいじゃねぇか。俺たちと遊ぼうぜ」


「悪いようにはしないよ。ちょっとだけでいいんだ」



二十歳くらいに見えるだろうか。二人の青年は中学生くらいの少女を、前後で挟むように立っている。


そのうち前方に立っている長身の青年は少女の細い腕を掴み、退路を阻んでいる。



「おい、そろそろ人が集まってくるぞ」


通りの向こう側で見張りをしていたらしい青年が駆け寄ってきて、少女を囲む二人の青年に告げる。


それを聞いた長身の青年は不機嫌そうに顔をしかめ、舌打ちをした。



「このまま誰かに見られたらヤバいよな……どうする?」


少女の背後に立つ青年は焦りながら他の二人に訊く。

心配するのは当然だろう。


男が三人がかりで一人の少女に手を出しているのだ。


嫌がる少女の手を掴んで逃げられないようにしているのだから、怪しいのは明らかだ。



「仕方ねぇな……お前、もう一度あっちを見てこい」


長身の青年は見張りをしていた青年に、先程いたところに戻るよう指示を出した。


見張りをしていた青年は何かを察したのか、そそくさと足早に去っていった。


人が来るのなら、どうして私を解放しないのだろう……?


少女は青年たちの不可解な行動に、疑問符を浮かべている。



「さて……じゃあ誰かに見られる前にさっさとヤっちまおうぜ」



長身の青年は周囲を見渡し、誰もいないことを確認して言う。


その言葉の意味を理解できずに困惑する少女を、アスファルトの上に押し倒した。


その瞬間、背後に立っていた青年が少女の両腕を押さえつけた。



「なっ、何するの……?」



少女は恐怖に身を震わせながら訊くが、もう遅かった。


長身の青年は少女の上に馬乗りになると、少女の着ていたコートのボタンを外し、上着と中に着ていたシャツを力任せに引き裂いた。


上半身を隠すものが無くなり、下着が露になった。



「こりゃすげぇな」



「中学生にしちゃあ、ちと大きすぎるんじゃねぇか?」



馬乗りになる青年の言葉に、腕を押さえる青年は悪戯のように笑いながら言う。

二人の視線は紛れもなく、真っ白なブラジャーに包まれた胸に向けられていた。


他人にはあまり見せることのない部位を注視されていることに羞恥心を抱き、頬が少し赤くなる。


青年たちが次に何をするのか不安になり、恐怖心も抱き始めた。



「もうやめてよっ」



羞恥心と恐怖心に嫌気が差したのか、声のトーンが少し高くなった。


少女は逃げられないと悟っていたが、どうにかして脱出しようと身を捩る。



「こんないい女を誰が逃がすんだよ?」


青年は言うと、白いブラジャーを強引にたくし上げる。


その反動で豊満な乳房が形を変えながら揺れる。



「嫌ぁ、やめてぇ……」



青年の強引な行動により一層恐怖心が強くなり、少女は耐えきれずに泣き出してしまった。


馬乗りになる青年は構うことなく、少女の下腹部に手を伸ばす。








刹那。








「ぎゃああああっ!」





突然、男の悲鳴が響き渡る。


まるで断末魔の叫びのようだった。
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