*そして僕等の世界は染まる*

□一日目
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「お前ら、この学校の全校生徒が何人か知ってるか?」



狭い部屋の真ん中で、ヒヅキが一歩踏み出しながら言った。

俺とフタバはそれぞれ適当な場所に座って聞いている。

二段ベッドとシングルベッド、そして小さめの机が3つと心もとないクローゼット。

俺たちが割り当てられた量部屋の家具は今のところたったこれだけ。

それぞれが更に荷物を持ってきたらよほど狭い部屋になるだろうな、とボンヤリ考えていた時だった。



「そんなこと知ってるわけねーだろ」


「…確か1200人くらいだろ」



そっけなく答えたフタバの代わりに答える。

するとヒヅキは目を輝かせながら続けた。



「そう、その通り!!

そのうちこの寮を使ってるのは約2分の1。

んで、部屋は基本的に3人1組。

あ、ちなみに毎年学年は関係なくくじ引きで決めてるらしい。

そのうち男が半分の300人と少し。

確率的に言えば…、いや、俺、数学できねぇから分かんないけど!

とにかくスゴいんだよ!」



ヒヅキの熱弁をまるで無視するかのように漫画を読み始めたフタバ。

俺もさして興味はないが、なんとなくすることもなく聞いている。

でも、それにしても長い。

そしてとてつもなく回りくどい。

俺は思わず聞いてしまった。



「で?

つまりお前は何が言いたいんだ?」



今思えばそもそもこんな質問をしたのが悪かったんだ。

しかし、もうすでに遅い。



「そう!!

結論を言えばな!」



そこで言葉を切るとヒヅキが俺とフタバに近づいてきて、勝手に肩を組んだ。



「はぁ?!

てめぇ何を…」


「離せよ!」



少し怒った俺たちの顔を見て、ヒヅキは随分と楽しそうに笑って、言った。



「つまりは、仲良くしようぜってことだよ!!」




















(うっとおしいにも)

(ほどがある)

(これじゃ)

(振りほどけないだろ)

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