小説

□風邪2
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降谷は一人ご満悦だし・・・。
その後も何回もせわしなく汗拭きをする降谷。
倉持なんか腹を抱えて笑っているし、弟くんもなんだか笑顔のままだ。
微笑ましいっちゃ微笑ましいけど。

何回目かの汗拭きの後、黙りこくっていた向井が口を開いた。
「あの、さぁ。子供じゃない…ん、だから」
そこまでしなくても、と言いたそうに。
降谷はしかしそんな反論ものともせず、
「でも、汗かいたら気持ち悪いでしょ?」
「それは、そう…だけど」
「うん」
何がうんなのか分かんねーよ!と吹き出す倉持。
多分、ならいいでしょ、のうんだろーな(笑)
ちょっとごめん、と首の保冷剤をとる降谷。
もう保冷剤ない…と呟く。
「…何か、飲みたい?」こく、と弱くうなずく向井。
降谷はちら、と俺のほうを見て、
「だそうです御幸先輩」「何で俺だ」

またも倉持爆笑。
とそこに、
「おーーい!色々持ってきたぞ向グハッ!」
「てめー人にうるさいっつっといて一番うるせーよ!」
倉持の蹴りを食らった沢村の手には大きなビニール袋。
「いやー帰ってくるとき色んな先輩が」
「…遅いよ」
なにぃぃ?!と騒ぐ沢村のビニール袋を弟くんが開ける。
「向井くん何か飲みたがってたよね?」
取り出したのはスポーツドリンクらしきもの。
ぱっと降谷が目を向ける。
「はい」
「ありがとう…」
嬉しそうにそれを受け取り、ふたを開けて向井に手渡す。
向井は上体だけ起こしてそれをうけとり、何口か飲むと降谷に返した。
「…ありがと」
はいまたもほくほくモード。(笑)
ホント面白い奴だ。

そこでまた弟くん発見。
「お腹空いてない?ずっと何も食べてないからこれぐらいなら食べれる?」
と見せたのはウィダーゼリーの入れ物のような形をしているもの。
パッケージにはアロエヨーグルトと書いてある。
「どう?」
「…欲しい」

欲しい、とだけ言うとずっと上体を起こしていたのがきつかったのか、
ずるずると上体をさげていく向井。
最終的には頭だけ壁にもたれかかったような感じになる。

降谷がふたを開けたヨーグルトを近づけるか反応しない。
少しショックを受けたらしい降谷だが今日の降谷は諦めなかった。
「動くの…しんどい?」うなずく向井。
「じゃあ、はい」

降谷がいきなり口元までヨーグルトを持って行く。
いきなりの行為に向井だけでなくそこにいたみんなが目を丸くした。

向井は硬直している。
やっぱ降谷はなんかズレてる。うん。
てゆうかヨーグルトを見つめる向井が可愛く見えてきた俺って異常?(笑)
だってなんか女顔だし白いし♪今は弱って目とかもうるうるだし。

まぁそれはおいといて観念した向井は、口を開いた。
降谷がぱっと表情を明るくしてそこへヨーグルトを流し込む。
異様な光景…と思ってたら降谷がヨーグルトを引き抜き、怪訝そうに見つめる。

「出ない」
何かが詰まってるようでヨーグルトが出ないみたいだ。
凍らしてあったものみたいだし、大方凍ったままのアロエでも詰まってるんだろう。

降谷がむむ、と力を込める。
おい、バカ!そんなお前の力で押し付けたらっ

ブシャッ

あ。遅かった。

降谷の握力で握られたヨーグルトの吸う所からは軽くアロエが飛び出し、勢いに乗って
ヨーグルトまでもが噴出した。

もちろん向井の顔めがけて。

「・・・・・・・あ、ごめん」
「・・・・・」
やり場の無い怒りを抑えるかのように目をつぶった向井の顔にはヨーグルトが大量についている。
はっはっは、もう漫才じゃねーか。

うーんでもなんか引っかかるこの光景。
ピンとこないまま笑っていたら倉持が耳打ち。
「〜〜みたいじゃね?」

ああ、それだ。
「倉持へんたーい」
「んだとてめっ!」

そんなやり取りを見ながら、降谷にタオルでいそいそと(嬉しげに)
ヨーグルトを拭かれている向井は、こっちをみて笑いながら言った。


せんぱーい、今変なこと考えてますよね


(いやいやそんなこと全然)
(いやバレバレですし。飢えすぎですよ)










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あーーーーーなんかもうすみませんでしたーーーー!!!!
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