小説
□いやいや、おいおい
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「ねぇ」
相変わらず人を呼ぶときに名前を呼ばない降谷。
「先輩が呼んでたよ」
「ん」
軽く返事をして、
「先輩って誰だ?」
「…倉持先輩と、増子先輩と、キャプテンと、あと」
御幸先輩、と降谷。
りょーかい、と言って行こうとしたら。
「…御幸先輩って」
ぽそりと降谷。
「名前似合ってない、よね」
…降谷がそんなこと言うキャラだとは思わなかったので少し驚いた。
「そうか?」
「うん。似合ってない、と思う」
何か可愛いし…と付け足す。
御幸一也だっけ?
別にそんなことはないと思うけど。
「じゃ、行ってくる」
とりあえず、先輩が呼んでるみたいだし。
金丸は向こうにいる先輩の方へ走った。
******
「おーい、降谷」
「…はい」
御幸がブルペンから降谷を呼ぶ。
ブルペンには沢村と御幸と川上。
「ちょって来て」
手招きする御幸。
のろのろと降谷が歩いてくる。
そして、
「御幸先輩」
きりっと珍しく真剣そうに。言った。
「教えてください」
「な、何を?」
あまりの真剣さにたじろぐ御幸。
沢村と川上が見守る中。
「前から思ってたんです」
「な、なにを」
「倉持先輩、増子先輩、御幸先輩」
いきなり先輩の名前を連呼。
「おかしく、ないですか」
みんなそう呼んでるけど、と続ける。
「やっぱり、仲間外れはいけない気がするし」
仲間外れ、というガキ臭い単語が降谷の口からでる。
いやいやだから何?と御幸。
まず何が仲間外れ?
「だから」
「名字教えてください」
…はい?
目をまん丸くする御幸。沢村。川上。
いや、今呼んでるけど。
「みんな名字なのに、ひとりだけ名前…」
だからこれからは名字で呼びます、と降谷。
御幸は呆れたように笑った。
沢村がいつもフルネームで呼んでんじゃねーか。
「…あのなぁ降谷」
俺の名前御幸一也だからね?(笑)
(…え)
(はっはっは、バッテリーの名前ぐらい覚えとけ)
*******
なぜ金丸?
降谷は御幸を名前だと思ってたんですみたいな。