7thB.V

□ちょっとイタズラしただけ
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アーウィンは珍しく困っていた。
どうしてこのような状況に自らがおかれているの全く分からない。


「……何ですか、いったい」


両腕を拘束するように、後ろから何かがぎゅうと抱きついていた。
小さめの手が腰にまとわりついていて、アーウィンの自由を奪っている。


「……あーうぃん?」


紅い瞳と目があった。
レナに似た少女は、レナの影だった。
本当だったら存在していないはずの彼女は、レナと融合したあとなぜか再び分裂してしまった。
紅い目と長い舌意外は外見の見分けは付かないが、陰のほうが幼く感じられる。


「何ですか」

「…んー?」


こてんと首を傾げる様子を見ると、まったく分かっていないのだろう。
ふにゃんと笑ってさらに腕の力が強くなる。

レナよりもより冥使としての力が強い分、力も強い。力の加減を知らない為にきっと普通の人間なら骨にヒビでも入っているかもしれない。


「……?」


純粋無垢な笑顔は赤子のようだった。


何がしたいのか、影の表情からは読みとれず、もしかすると何も考えていないのかもしれない。

とにかく身動きのできないこの状況をどうにかしたい。
力尽くで何とかすることもできるのだが、なぜかできない。

アーウィンは珍しく困っていた。
きっと、フレディがこの状況を見たら面白がるだろう。


「……それも嫌ですね」


影は抱きつくのに飽きたのか、アーウィンによじ登ろうとしていた。


「降りなさい」

「やぁ!!」


背中をよじ登った影が、首に抱きついた。
ふわふわの髪が首筋にかかる。

まるでおんぶしているような格好で、影はしがみついていた。


「あーうぃん」

「何ですか」


にこりと笑った影と目線が同じになった。
いつも下の方から見上げられているため、こんなにも近くに顔があることに違和感しか感じなかった。


まるで猫のようにすり寄ってくる。
アーウィンが答える度にうれしそうに、きゃははと笑った。

レナを小さい頃から見てきたアーウィンのだが、影とレナは別の存在なのだと妙なところで納得した。


「あーうぃん!!」

「はいはい」

「きゃはは!!」


きっと影に何を考えているのか聞いても無駄なのだろう。
そう諦めたアーウィンは、影が飽きるまで仕方なく付き合うのだった。








「あの子はアーウィンが大好きなのね」

「……あっちのねぇちゃんは変わってるね」


やっぱりレナも変わり者なのだろうかと、フレディは密かに思うのだった。





“ ちょっとイタズラしただけ”






end


腹黒くない……
腹黒いアーウィンはひねりがないかなと思ったのですが、イタズラというかなんでしょね?

アー影レナ?

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