book2

□お薬パニック
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その夜、アスランはシンクの前で悩んでいた。果たしてこれを使っていいものなのか。
ちなみに、公園から帰った後にピンクの悪魔が仕掛けたと思しき隠しカメラや盗聴器はすべて駆除済みである。ごろごろと出てきたそれらは、本当に部屋中に仕掛けられていて、お風呂場やトイレにまで隠されていたのは驚きを通り越して恐怖をもたらした。
ラクスがキラに害になるようなものは、間違いなく作るわけはないが、如何せん怪しすぎる。
とりあえず、そのピンクの液体をグラスに移してみた。しかし、明らかに毒々しすぎて明らかに、危険物だと激しく自己主張している。このクスリがピンクなのも作用しているのかもしれない。いくらなんでもこのままでは怪しすぎる為、まずは冷蔵庫の中を探ってみる事にした。
この液体を混ぜても平気なものはと、中を見回すとふと牛乳が目に入った。コレならば、どうにかなるかもしれないと。ピンクの液体の中に注ぎ込んだ。


「……いちご牛乳に、見えなくもない?」


いちご牛乳にしては、色が濃すぎる気もするがコレならば怪しまれないかもしれない。
先にお風呂に入っているキラに飲ませてようと、アスランは決意した。


「ふぅ。お風呂上がったよ、アスラン」


ほかほかと湯気が立ち込めるキラは、わしゃわしゃとチョコレート色の髪を拭いている。バスローブから覗いた肌は、ほんのりとピンクに染まっていた。張り付いた前髪からのぞいた菫色の瞳がにこりとアスランに微笑みかけた。あの水色の瞳の彼女とは違い、悪意のないそれに、思わず手で顔を覆う。心が表れるこの笑顔に、思わず涙が零れそうになった。


「あの…大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ。それよりキラ、のど渇いただろ」


心の中で謝りながら、そのグラスを渡す。キラは何の疑いもなくそれを受け取った。
なんて、純粋無垢な天使のようなんだと脳内で小躍りするアスランは、思わずキラを抱きしめた。


「あ、ちょっと。零れちゃうよ!?」

「キラが可愛すぎるからだよ」


あくまで、外見だけは無駄にかっこつけて、キラの耳元で囁いた。くすぐったいのか首をすくめるキラに、アスランは唇を寄せた。


「ねぇ、キラ。このまま……」


ぴたりとアスランの唇がキラの手に阻まれた。アスランの目が見開かれる。あわよくばこのまま行為になだれ込もうとしたのを、見事にキラは打ち切った。


「早く、お風呂入っちゃいなさい」

「う…はい」


とぼとぼと、アスランはお風呂場へ向かった。
最近のキラは、なかなかガードが固い。毎日でもキラと関係を持ちたいのに、かなりの確率で躱わされてしまう。ようやく行為になだれ込んでも、昔のように流されっぱなしではなく、さりげなく途中でストップがかかるのだ。もしかして、飽きられてしまったのではないだろうか。などと、悶々としながらシャワーを浴びる。
ぽたりぽたりと藍色の髪から水滴が落ちる。鏡に写った自分の姿に、はぁとため息を付いた。
自分で言うのもなんだが、顔はかなり整った方だし、テクニックにも自信はある。なのに、何がいけないのだ。そんなとこを考えながら、脱衣所にでるとバスローブを羽織る。すると、がたんという物音がリビングから聞こえた。


「キラ!?」


一目散に走り寄ったアスランは、ソファの上で苦しそうに蹲るキラを見付けた。そのすぐ傍には、あの液体が入ったグラスが転がっていた。中身がほとんどなくなったそれによるものだと、アスランはすぐに理解する。やはり、飲ませるんじゃなかったと後悔が押し寄せた。


「キラ、キラ!? どこが苦しい!!」

「うぅ…あす、ら……あつ、い……」


はあ、はあ、と苦しそうに呼吸を繰り返すキラの顔は真っ赤になっていた。潤んだ菫色がアスランを見つめる。バスローブの衿元を開けて、風通りを良くしてやると少しキラの顔が和らいだ。急いで、ベッドに寝かせると、キラの髪を撫でる。


「キラ、ごめん。ごめんな」


眠ったキラに謝る。額に手をやると、かなり熱かった。どこに害がないのだと、ラクスに怒りが込みあがる。しかし、今はキラのことが最優先だと、急いで氷と水を用意する。
苦しそうに真っ赤にさせたキラの額に氷嚢を当てて、汗を拭く。そうしると、少し楽になったのかキラの表情が和らいだ。
ほっと息を付いたアスランは、キラを着がえさせ布団を被せる。規則正しい寝息を立てるキラを見ていると、いつの間にか意識が途絶えていた。




* * *





* * *



ゆさゆさと身体を揺さぶらされて、アスランは目を開けた。ぼんやりとする意識の中、昨日の記憶が蘇ってきて、慌てて顔を上げると、視界いっぱいに、キラの顔があった。


「キ―――」


ラ、と続けようとしたアスランは、その目に映ったものにあんぐりと口を開けた。ふわんと眠そうに欠伸をするキラは、夜とは違ってとても元気そうに見える。
だが、キラの様子が明らかにおかしくなっている。少し寝癖の付いた栗色の髪には、同じ色の三角の耳。おしりのほうから、にょろんと延びた同じ栗色の長いしっぽ。それがキラのイタズラでないのは、ひょこひょことそれらが動いているからだ。


「き、キラ……だよな?」

「う…にゃ……ッ!? な、なにこれ!?」


自分の身に起きた異変に気が付いたキラは、驚いてわたわたと自分の身体を触った。そして、あと声をあげる。あるはずのない、胸のふくらみを発見したキラの目がみるみる大きくなる。がばっとパジャマの前を開けると、程よい大きさに膨らんだ女の子のような胸があった。


「な…な、な…なんでぇええええ!!」


栗色の耳がぺたんと伏せられる。取り乱したキラが、ゆさゆさとアスランを揺さぶった。ぐらんぐらんと身体ごと揺らされたアスランは、先ほどからじっとこちらを見ている。一点を集中してみているような気がして、キラはそれを目で追う。ふるんとゆれる膨れた胸があった。


「あッ、アスランの変態!!?」

「ちがッ!? というか、男だったらあたりま――」

「バカぁあああ!?」


ばしんと頬を叩かれて、アスランはひたすらキラに頭を下げる。長いしっぽは毛が逆立って、いかにも怒っていますとアピールしている。アスランは、思わずそのしっぽを掴んだ。自分でも何故掴んだのかは分からなかったが、反射的にと言った感じで掴んだ。


「な、何するんだ!?」

「いや、分からない」

「は、離してッ!!」


なぜか顔を真っ赤にしたキラに、アスランはくいとそのしっぽを引っ張ってみた。すると、見るからにびくんと反応する。ふるふると身体を震わせたキラの顔は、どこか行為の最中を思わせて、アスランはにいと口角を上げた。


「ちょッ…ほんと、はなし、てぇ!!」

「んー…どうしよっかな」


栗色のしっぽをするりと撫でる。触り心地のいいそれは、面白いぐらいにびくんと揺れた。キラの白い肌がほんのりピンク色に染まる。なぜか女の子になったキラの大きくなった胸。ほどよい大きさのそれは、見るからに柔らかそうだった。その胸に、アスランは手を伸ばす。


「やッ、やめッ!?」


いつもより柔らかくふにふにとした感触がする。キラはばたばたと暴れるが、力もいつもより弱く簡単に抑えられてしまった。
紫色の瞳が潤んで、今にも零れ落ちそうに見える。見下ろされる形になったキラは、明らかに怯えていた。さすがにやりすぎたかと、アスランはキラの頭を撫でて抱きしめた。


「ごめん、怖かった?」

「……ばか」


ぎゅうと抱きついてきたキラは、いつもより一回りほど小さくなっていた。身体の線も細く、どこからどうみても女の子。しかも耳としっぽ付き。明らかにあの怪しい薬の所為なのだが、この姿のキラは文句なしに可愛かった。
アスランは栗色の髪を撫でる。ぴくんと同じ色の耳が反応した。


「あの、あのね……あ、すらん」


見上げられたアスランは、ほんのりと頬を染めたキラの顔を見る。潤んだ紫色の瞳には、己の姿が映っていた。もじもじとするキラは、何かを言い出そうとしているのが分かる。


「あの……な、なんか身体が、へんなの」

「うん、それで?」

「だ、だから…その、」

「なに?」

「うぅ…アスランのいじわる」


ぽんと叩かれたアスランは、耳元で「ごめん」と囁く。ぱたん、ぱたんと栗色のしっぽがアスランの足を叩いた。


「キラ、おいで」


アスランが両手を広げると、キラがすぽんと腕の中に納まった。華奢な身体がほのかに熱を帯びている。するりとパジャマの裾から手を入れた。びくんと目に見えて、キラの身体が跳ねる。ぺたんと伏せられた茶色の耳がふるふると震えていた。長いしっぽは、アスランの足に絡みついたまま。潤んだ紫の瞳に、理性が崩壊するのが分かった。


「ひゃん!! あすぅ……はぅ、んっ……」


いつもより甘ったるいその声。
アスランはするりと下肢に手を伸ばす。あるはずのものがなくなったそこは、すでにとろりと溶けていて、蜜が零れている。そっとその割れ目を撫でると、キラの腰が浮いた。


「にゃぅ、な、なに!?」


初めての感覚に、キラは目を丸くする。キラを怖がらせないように、アスランはキラの額に口付けた。するりと指を進入させると、そこはすんなりとアスランを受け入れる。たらりと垂れてしまったしっぽをくいとひっぱると、面白いぐらいにキラの身体が跳ねた。連動するように、キラの中がきゅうきゅうと締め付ける。


「い、やぁ…んっ、はぅ…しっぽぉ、やぁ!!」

「そう? キラのここ、すごく喜んでるけど?」


キラはふるふると首を振る。紅葉した頬と、薄く開いた唇。膨らんだ胸が上下する。アスランの指を受け入れたそこは、もう十分潤っている。


「ねえ、入れていい?」

「ぅ、こわ、い……あすら、ん」

「大丈夫」


手にしていたしっぽの先に、ちゅっと唇を落とす。キラの両足を掴んでくの字に折る。ひくひくと呼吸する小さな穴と、たらりと蜜をこぼす割れ目が去らされる。その恥ずかしい格好にキラは目を背けた。たん、たん、と長いしっぽがシーツを叩く。
ふと、アスランはそのしっぽを掴むと、蜜をこぼすそこに近づけた。にいと笑みを浮べるアスランに、キラは身の危険を感じて、暴れ始める。


「ちょ、な、なに!?」

「んー? キラがもっと気持ちよくなるように」

「ひぅ、ヤッ!? あぅ……うにゃ、やぁ!!」


ぬるぬるとしたそこにしっぽの先端を擦り付ける。ふさふさとした感触に、キラは身を捩る。小さな突起を擽るようにすると、足の付け根がびくびくと痙攣し始めた。たらたらと零れた蜜がしっぽを濡らす。
ひくん、ひくんとお尻の穴が反応するのをアスランは見逃さなかった。いつも、受け入れていたそこはしっかりとアスランの愛撫に反応を示している。


「こっちには、これをあげるよ」

「な、いやだぁ!! あ、ひぅ……いっ!! やぁ、ぁあッ!?」


細いしっぽは、なんなくそこに飲み込まれていく。シーツを握り締めたキラは、快楽に飲み込まれるのに抗うように唇を噛み締めていた。このままでは唇が切れてしまうと、アスランはそこを唇で塞ぐ。熱くなった口内を舐めるとキラの身体から力が抜ける。
するするとしっぽを動かし始めたアスランに、紫の目が大きく見開いた。たらたらと零れた蜜が、下肢を濡らす。びくびくと一際大きく身体が跳ねる。甘い声を上げて、キラは達した。はあ、はあ、荒い呼吸をするキラが落ち着くのを待って、アスランは、熱くなった自信をキラのそこに当てる。


「はぅ、い、あぁッ!?」

「キラ、入れるよ」

「ちょ!? あすらっ、抜いてぇ――ッ!! いぁあああ!!」


十分に潤っていたそこが、アスランを受け入れる。熱いキラの中にすぐにでも達しそうになるのを堪えて、奥に進む。こわばるキラの身体を撫でた。キラの呼吸に合わせて腰を進める。ゆるゆると動き始めると、キラの腕がアスランの首に回る。
お互いの肌がぶつかる音と恥ずかしい水音に、気持ちが高まる。しがみ付いたキラにキスをすると、キラはそれに答えた。


「や、はぅ…あすぅ、ら……ぁあっ!!」


きゅうきゅうと締め付けて離さないそこに、ずんと楔を打ちつける。いつの間にか抜けてしまったしっぽが、ぴんと逆毛立つ。ぎゅうと抱きついたキラを抱きしめると、頭の中が真白になって二人は同時に果てた。






 * * *












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