book2

□お薬パニック
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「うぅ、ひどぃ……アスランのばかぁ」

「ご、ごめん……」



あの後しばらくキラは意識を飛ばしていた。気が付いたキラは、心配そうに顔を覗き込むアスランの顔に拳をめり込ませる。
ひたすら頭を下げるアスランに、キラはぷいとそっぽを向いた。ぺたんと伏せられた耳に、アスランは手を伸ばそうとすると、バシンと叩き落される。


「アスランのバカぁ、どうせキミも女の子の方がいいんだろ!!」

「ちょ、キラ!?」


潤んだ紫色の目が、アスランをキッと睨む。近くにあった枕を投げつけた。
ピンと立ったしっぽが逆毛だっているのに、相変わらず茶色の耳はぺたんと垂れたまま。ネコってこんなにも器用だっただろうかと、アスランはくすりと笑う。


「ちょっと、何笑ってるのさ!?」
「いや。やっぱりキラは可愛いなって」


シャーと、本物のネコのように威嚇するキラの頭をぐりぐりと撫でる。
アスランにとっては、キラが男だろが女だろうがたいした違いはない。不覚にも、ピンクの魔の手(?)にまんまと理性が吹っ飛んだのは認めるけれど。


「俺は、キラがキラなら、なんだって愛せるよ」

「うっ、キミ……それ、言ってて恥ずかしくない?」

「いや、全然」


いまだに距離のあるキラをアスランは、ぐいと引き寄せる。抵抗することなく収まったキラを抱きしめた。ぷくんと膨らんだ頬を突くと、はあとキラは息を吐いた。


「もう、いい。それより、なんで僕こんなことになったんだろう……」


ぎくりと顔を背けたアスランに、キラは気付く事はなかった。持ち前の天然に助けられたアスランは、ほっとため息を付く。


「明日にでも調べてみるよ」

「うん」


頷いたキラは、ふわんと欠伸をした。かなり無理をさせたために、身体が休息を欲しているのだろう。


「キラ、もう少し休んだら?」

「うーん……そうしよっかな」


ごそごそとシーツにもぐりこんだキラの頭を、アスランは撫でる。キラが目を閉じるのを見ると、アスランは立ち上がった。くいとシャツの裾が引っ張られて、振り返る。


「なに?」

「い、いかないでよ」


顔の上までもぐりこんだキラの顔はアスランには見えなかった。キラの隣に腰掛けて、栗色の髪を撫でる。ぺたりと伏せていた耳が、ぴょこんと立ち上がった。


「行かないから、寝ろよ」

「う、ん……」

「おやすみ、キラ」




あのピンクの女帝様のことだから、キラの変化はすぐに消えるだろう。
それまでは、この状況を楽しもうと密かにアスランはほくそ笑んだ。




だが、この計画は数時間後には二人の女帝によって儚くも崩れ去る事になる。





「私の弟に何をしたァアアアアアアアアアアア!!!」


この声とともに、アスランの幸福の時間は終わりを迎えるのだった。







End

やっと、終わったι
長かった……いや、唯たんに遅筆なだけなんですけどねー
元は、「発情中の雌ネコのしっぽをひっぱるとすごいことになる」みたいなネタが始まりだったのですが、まさかこんな長くなるとはorz

一時期、拍手にあったものです。

おにゃのこにゃんこキラたん。
きっと、ラクスの仕掛けた隠しカメラに一部始終が写っていることでしょうねー

それを一人楽しむラクス様ww



あ、誤字脱字あったらお知らせ下さい(切実

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