book2

□Inside of darkness
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「くーちゃんのばか!!」

「なんだよ、なおが悪いんだろ!?」








* inside of darkness





「そら、なおくんも、やめなよー」


ささいなことでくーちゃんと喧嘩して、祭ちゃんがそれを止めようとしてる。
そのうち俺とくーちゃんは掴みあいのけんかになって、わんわん泣いて。

祭ちゃんがオロオロしながら、お兄ちゃんとななちゃんに走りよるんだ。
お兄ちゃんとななちゃんは、俺たちを引き剥がして仲直りさせてくれて……


小さい頃のやさしい記憶。

毎日が楽しくて、きらきらしてて、
こんな毎日がずっと続いていくんだろうなって、思ってた。











 * * *




薄暗い部屋の中で目を覚ました。
白い天井に、ああコレが現実なんだと実感させられる。


「あ、れ……」


頬に濡れた感触があった。
心の奥深くにしまったはずのその思い出は、思い出すは辛すぎる。


「だ、から……やなんっ、だよ……」


止まらなくなってしまった涙が、後から後から溢れ出る。
もう、思い出して泣くのは嫌なのに。
涙とともに、悲しみと、憎しみに押しつぶされてしまう。


「や、だ……とまっ、て…よッ!!」


だんとマットを叩いた。そんなことをしても、止まらないことは分かってる。だけど、何かに当たらなければ、感情に飲み込まれてしまう。


あの優しい思い出を、どろどろとした感情で汚されたくない。

憎しみたくない。


「やあっ、やだよぉ……く…ちゃ、」


手を伸ばしても、決して届かないその光に、それでも必死に手を伸ばす。


カーテンの閉まった窓から、微かに漏れた光。

キラキラとした月灯りが、すっと一筋だけ差し込んでいた。


「く…ちゃ、……」


ぼやけた視界の先には、何も見えない。

暗い、暗い、闇の中へ。


その思い出を、この感情と共に、深い心の奥底へと……







「逢いたい、逢いたいよぉ……出してよ!! ねえ、ここから出してよぉ!!」



白く厚いその扉を、何度も何度も叩く。
泣いて、泣き喚いて、部屋の中をぐちゃぐちゃにして。


「やめろ、ナンバー014!!」


物音に気付いた研究員達が、部屋の中へ駆け込んでくる。
暴れる直を押さえ込んで、羽交い絞めにした。


「やあ!? やだぁあああああ!!」


めちゃくちゃに暴れるけれど、体格の違うその男はらくらくとその腕を押さえ込んで、何かを注射した。


「あッ!?……や、だ…、よ…るぅ……」


かくん、と直の身体から力が抜ける。
弛緩した身体を抱えた。
男達は、その身体をベッドに放り投げる。



「まったく、手間かけさせやがる」

「ハッ、まあ、しかし、かわいがってやる口実が出来たんだ」

「そうだな、ぜいぜい楽しませろよ」


男達の手が伸びる。
次々と、男達は直の服を脱がしていった。




「や……だ……く…ちゃ、」





視点の定まらないその瞳から、涙だけが溢れ続けた。






end



「FIRST LIMIT」の前。
まだ、研究所にいたときの直です。
きっと、こんな感じではないだろうかと……書きながら気分がどんよりとι
だけど、こういうのもあっての好きしょだろうなと思います。

と、語ってみたり……











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