book2

□1
1ページ/1ページ




ふと、前を歩くアスランの姿を見た。
見慣れたザフトの赤い色をした姿。
その横顔は、とても凛々しくて、だけどとても遠かった。

通り過ぎていく人々は、みんな、後ろを振り返る。

ザフトのエースで、数々の戦いで好成績を残している。

羨望と、憧れと……


きっと、アスランは気付いていないけれど。


「あ、あのさ」

「ん?」


僕の問いかけに、振り返った翡翠色の瞳。
その顔は、やっぱり昔とは違っていた。


遠い。


こんなにも、遠くなってしまったことを知ってしまった。


「どうした、キラ?」

「……なんでも、ない」



僕は地球軍で、そして多くの彼の仲間を殺して。
戦いを、戦火を生んだ。
それは、願っていた事ではないし、ましてや望んではいない。

きっと、あやふやのまま僕はあそこにいた。
中途半端で、不安定な存在だった。


仲間を裏切る事も、アスランを敵にすることも出来なくて。
だから、こんなことになったんだ。


だから、きっともう昔のようには戻れない。


「キラ…さあ、行こうか」

「う、ん……」


つながれた鎖のその先は、確かに君の手の中に。



しゃらり、と鎖が揺れる。
重くはないその鎖は、僕とアスランを繋いでいた。



「キラ、やっと帰ってきたね」



大きなスクリーンに映し出された、破壊された白い機体。

粉々になったその船。



「おかえり、キラ」



耳元で聞こえた声は、酷く優しく、甘かった。






“手をつないだ。


きみに一歩近づけた気がした”








end



あ……あれ?
甘いお題のはずなのに、いつの間にか←
どうも天邪鬼すぎた……けど、これもアスランの愛です。

種中盤あたりで、アスランが強引にアークエンジェルぶっ壊してキラ奪った的な感じですね。

解説しないと分からないこの設定orz








[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ