book2
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久々の喧嘩。
ほんの少しだけ、直して欲しかっただけなのに。
どうして、ここまで言ってしまったのだろ。
「だいっきらい!!」
「ああ、わかった」
部屋を出て行ったアスランの背中を追いかける事は出来なくて、後悔と苛立ちがぐちゃぐちゃになって圧し掛かる。
ただ、聞いて欲しかっただけなのに。
べつに、何か期待していた訳じゃなかったのに。
「バカ!! アスランのバカぁあああ」
飾ってあったぬいぐるみを思いっきり壁に投げつけた。バンとあたった可哀想なウサギがへなへなと壁を滑っていく。
ピンク色のその子は、たしかアスランが買ってくれたもの。
僕にそっくりに見えたらしいから、買ってきたといきなり渡されたときは驚いた。
ぺたんと、床に倒れたウサギを拾い上げる。
「ごめんね……」
この子に罪はまったくなくて、くたんとしたその足がなんだか本当に僕のように見えた。
ぎゅうとその子を抱きしめる。
「ごめん、なさい」
こんなにも素直に言える言葉なのに、どうして肝心なときには言えないのだろう。
涙がこみ上げてきて、しゃがみ込んだ。
「キラ……」
「あ、すらん…」
出て行ったはずのアスランが目の前にいて、思わず涙が引っ込んだ。
泣いていると思われたくなくて、無理やり表情を作ったらへんな顔になった。
「…なんで、来たんだよ」
「…忘れ物」
「あ、そ……」
椅子の上においてあったカバンを持って、くるりと背を向ける。
今なら言えるのに、でも肝心の口は動いてくれない。
情けなくて、顔を伏せた。
ふわりと、あまい香りが広がった。
思わず顔を上げる。
「……意地っ張り」
出て行ったはずのアスランがまだ目の前にいた。
差し出していたのは、大好きなシュークリーム。
「な……んで?」
「泣き虫のお子様には、あまいもの」
「ッ…ひとりにしてよ」
言葉とは裏腹に、掴んでしまった彼のシャツを持つ手は震えていた。
本当に、子供で意地っ張り。
どうしようもないぐらい、そのままの僕。
「いやだね」
そういって、アスランは僕を抱きしめた。
“ひとりにしてと微笑うきみの、震える手を離すものかと。”
end
……微妙にお題からずれた!!
というより、軌道修正の跡がorz
アスキラの喧嘩は、きっと些細過ぎて間に入ると蹴られます。
みつけたら、そっと壁際から見守りませう[壁]д`)←←
どうでもいいですが、ピンクのウサギはあれです。好きしょのももちゃんです←