book2
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オレンジ色に染まった夕焼け。
波打ち際の音。
砂のまじった風は、潮の匂いだった。
「静かだね……」
夕日の沈む波打ち際に、並んで腰掛ける。
まだまだ寒さは残っていて、春とは程遠い。
コロニーとは違って、自然の風は身体を冷やしていく。
それでも、この景色はとても綺麗で、久し振りに落ち着いてこうして一緒にいれることがなによりも嬉しかった。
「寒い?」
「大丈夫。それより、アスランのが手冷たいじゃない」
重ねた手は、いつもより冷たくて白かった。
ぎゅっと上から手を握る。
アスランの長い指が僕の手に絡まった。
どんどんと太陽が海に吸い込まれていく。
オレンジ色だった空が、だんだん青に染まっていく。
紫色と、赤色と、藍色と、
「なんかさ、あれって僕とアスランとシンの色みたいだね」
「それじゃ、俺たちがシンを塗りつぶしてるみたいじゃないか」
「あ、そうか」
だんだんと赤色がなくなって、紫と藍色だけになる。
しばらくすると、深い藍色に。
「あ、アスランだけになった」
「だからさ。その言い方やめろよ」
指さしたその先は、海と空の境目がなくなったところ。
くすくすと笑う。
「なんか、いいな。こういうの」
「キラ?」
「ねえ、アスラン。もう、いいんだよね」
「ああ」
静かな波の音。
白い波の色だけが、目だって見えた。
「そろそろ帰ろう、キラ」
「うん」
手を引かれて、砂浜を歩いた。
足跡は、くらくて見えなかったけれど。
二人一緒のその跡は、波には消えないその場所にあった。
強く握られた手。
その手は、もう離さなくていいんだと言ってくれているみたいだった。
たくさん、たくさん、いろんなことがあったけど、もういいんだよね。
“僕はただきみの手を握って、
きみは黙ったまま頷いて。”
End
せっかく最後なので、締めみたいな感じで書きました。
種運命が終わって、何もかも片がついた後です。
こんなアスキラがあったらいいなと。
みんな幸せになってほしい。
お題しゅーりょー!!!
お題完成させたの初めてです!!
自慢じゃないですね、はい……しかし、やろうとは思ったけど一日で出来るとは……
恐るべし、アスキラwwwきっと、昨日の所為ですね(`・ω・´)←←
5時間で、5本……一時間約一本ですかι
早いのか遅いのかはべつとして……頭真っ白です。
か、感想頂けたら、泣いて乱舞します
“つないだ手の温もりは、
確かにそこにあったよね。”