book2
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※ 学パロ
(きみと手をつなぐ5題3と同じ設定)
最近のアスランは急がしそうで、めったに顔を合わさなくなった。
期がかわるこの時期はどうしても、生徒会の仕事が忙しいらしい。会長を務めている所為で、誰よりも忙しそうだった。
自然と一人でいることも増える。べつに、友達がいないわけではないけれど、アスランといることがほとんどで、自然とこうなってしまった。
がやがやと騒がしい食堂も、何故だかこの周りだけ切り離されているみたい。
一人で食べるお昼ご飯は、あんまりおいしくなはなかった。
「あれ、キラさん。一人ですか?」
「あ、シンくん」
二つ年下のシンは、お盆の上にBランチを乗せていた。ほこほこと湯気が立つロールキャベツがちらりと見える。どうぞと席を勧めると、シンは向かい側に腰掛けた。
「珍しいですね」
「うん」
冷えてしまったパスタをフォークで突く。半分も減っていないそれは、作ってくれた人に申し訳ないけれどあまり食欲もなかった。
「あの人。忙しいですからね」
「まあ、生徒会長さまだしね」
きっと、昼ごはんも食べずに作業をしているところだろう。ふうとため息を付くと、シンの赤い目がじっとこちらを見ていた。
「なに、シンくん」
「なんでもないです」
湯気が立つロールキャベツにスプーンを刺した。柔らかく煮込まれていたそれは、すんなりと切れて、ぱくりと口に運ばれる。
「おいしい?」
「まあまあですかね」
「そう……一口ちょうだい?」
あーんと口を開けるとシンは、げほげほと咳き込んだ。喉に詰まったらしいシンに、慌てて水を差し出した。
「ちょっと、大丈夫!?」
「へ、平気です」
ごくりと水を飲み込んだシンは、ふうと息を整える。
そして再び、あーんと口を開けた。
「食べるなら、自分のフォークで食べてくださいよ」
「いや。だって、ミートソース付いてるもん」
はやくはやくと催促する。シンの顔が少し赤らんで見えた。
スプーンに掬われたロールキャベツが、口の中に入る。口を閉じると、スプーンが引きかれた。わざとそれを噛んで咥える。赤い目が大きくなって、スプーンを持ったまま動かなくなった。
「おまえら、何してるんだ」
後ろからいつもより低めの声が聞こえる。ちらりと視線を向けると、ペットボトルを持ったアスランが隣に立っていた。慌ててスプーンを持っていた右手が引っ込められる。
「あひゅらん」
スプーンを咥えたまま喋ると、ぺしんとアスランに叩かれた。ぷくりと膨れながらスプーンを離すと、垂れていたソースをぺろりと舐める。
「かわいい後輩をからかうな」
また叩かれる。顔を真っ赤にさせたシンに、謝ってスプーンを返そうとしたら、ひょういと横から取られた。
「あ、それシンくんの」
「あーもう!? いちゃつくならよそ行って下さい!!」
バンと叩いてシンは、立ち上がった。周りにいた数人がこちらを向く。
「どこいくのーシン?」
「新しいスプーン取ってきます!!」
すたすたと歩いていくのを見送ると、アスランは隣に腰掛けた。ペットボトルの水を無断で飲む。
「あんまり、シンをからかうなよ」
「誰かさんがかまってくれないからだよ」
食堂のおばちゃんに新しいスプーンを貰うと、アスランとキラが座っているほうを見た。
“となり同士がいちばん自然”
「ったく俺を巻き込むなっつうの」
end
シンがとばっちりを受けました。
キラがなんか黒い……
ちなみに、友人の誕生日のリクでした。
あんまりリクには答えられてない感じになりましたけど、喜んでくれたのでまあよし☆