book2

□danger signal
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突然ですが、只今ピンチです。






* danger signal





どういうわけか、キラは男達に囲まれた。
しかも、治安があまり宜しくないこの区域の路地裏で。
いや、調査のために来たのだからある程度の危険は分かっていた。しかし、まあ大抵のことは自分ひとりで何とかるとキラは思っている。先の戦争を生き抜いてきたのだから、それは勿論。だけれども、その油断がいけなかったのかもしれない。


「よぉ。で、どう落とし前付けてくれるんだ、お嬢ちゃん」


しかも、女と間違えられて。
持っていた銃は、とっくに没収されてしまっている。
囲んでいる人数は六人。体格のよいリーダー核と、その他大勢。


「あの……で、僕は何をしたらいいのでしょう?」

「はあ、こいつが、お前の肩にぶつかったらしいじゃねぇか」

「それなら、謝りましたけど……」


そう、なんとも低レベルで古典的な奴に引っかかってしまったのだ。一応、国に関わる自分が、他国とはいえ市民に手を上げる事はできないから性質が悪い。
警護を巻いてしまったのがいけなかったのかと、キラはため息をついた。


「では、何か要求でも?」


男達はニヤニヤと笑っていた。とても、いやな予感がする。
隙を見て逃げようと思っていたのだが、思いのほか隙がない。少しぐらい殴ってでもと思ったのだが、この人数では厳しいかもしれない。


「随分と落ち着いていやがるこのアマぁ!!」

「いや…だから、僕はおと――っ!?」


いつの間にか後ろに回られていた。後ろ手を組まれる。力も強い。
ニヤリと笑ったその男は、前にいる男よりも体格もよく、逃げられない。


「おい、こいつ男だぞ」

「うそ、マジかよ!?」


だから、それを言おうとしたじゃないかと言う言葉を飲み込む。
地面に投げられて転がったところを、馬乗りにされる。男の視線が突き刺さった。


「まあ、こんだけ顔よけりゃヤれるだろ」

「ちがいねぇ」

「ちょ、放せ!!」


頭の中で警告がなる。体格差の所為で、逃げられない。
男達の視線が注がれる。ぞっとするほどのイヤな視線。
暴れる腕を押さえつけられる。一人が持っていたナイフを見せ付けた。


「や、ヤダっ!? はなっ、んっ―――!!」


口の中に布を押し込まれる。声も封じられた。
喉の奥のほうまで押し込まれた所為で苦しい。
シャツが切り裂かれた。肌がひりひりとする。おそらく、ナイフの先が当たって傷がついた。


「おい、こいつ。当りじゃねぇか?」

「なんだ、このキスマーク」


胸元と、腹に散らばった痕は、昨日の名残。
男達の目の色が変わった。好奇の目から、欲にまみれた目に。
男たちの手が伸びる。べたべたと触られる。


「ん゙――っ、……」


身体を捩っても、逃げられない。
自分の力を過信していたことに腹が立つ。
ずるりと下も脱がされる。外気に触れて鳥肌が立つ。肢体をそれぞれ押さえつけられた。
顔に何かが掛かった。生臭い息が近づいてくる。
カタカタと身体が震える。見開いた目が閉じる事が出来なくて、知らない間に涙が零れていた。


「おい、早くヤって変われよ」

「後が詰まってんだぜ」


手が伸びる。地面に顔を押し付けられて、腰だけ持ち上げられた。
イヤだ、イヤだと、叫びたいのに声は出ない。



「ここでなッ!?」


鋭い声と共に、圧し掛かっていた男が吹き飛んだ。
日差しが顔に当たって、目が開けられなくなる。ふわりと身体に服がかけられた。人影が手を差し出す。
打ちのめされた男たちが、周りに倒れていた。口に押し込められていた布を取り出す。新鮮な空気が一気に入ってきて咳き込んだ。
ぱたぱたとあちこち触られて、傷がないか確かめられた。


「何をやっているんだ、おまえは!!」


厳しい口調とは裏腹に、包み込まれた腕はとても優しい。背中を撫でる手が温かくて、震えていた身体が落ち着いてくる。


「ごめ……ごめんなさっ……あす、らっ……」


涙が止まらなかった。アスランの手が髪を撫でる。嗚咽の所為で喋れなくなる。
ごめんなさいを繰り返す。


「どうして、護衛を撒いたんだ!? キラがいなくなったと報告を受けて、探し回ってッ!!」

「あすら…ん……ごめ、んな――ッ!?」


パンッと、乾いた音が響く。頬が熱くなって痛い。
叩かれたのだと分かった。怒っている顔。久し振りに見たその顔に、何故だかとてもほっとする。その顔に思わず手が伸びた。すぐにその手は捕まえられて、再び抱き寄せられる。痛いくらいに強い力。


「何されたの?」

「……押し倒されて、触られた…」

「それで?」

「……それだけ」


肩の力が抜けたのが分かった。その続きがあったかもしれないことに改めてぞっとする。アスランの服を握り締める。

気が付いたら、また涙が出ていた。わんわんと子供みたいに泣く。アスランはずっと背中を撫でてくれていた。



「怖かった?」

「うん」

「もう一人で行動するなよ」


「………うん」

「…なんで、そこだけ間をあけるんだ」


ぺしりと頭を叩かれて、キスされた。





その後カガリにも散々怒られた。
どこかに行く時には必ずコイツと行って来いと、アスランを指さされる。


「なんで!?」

「なんでじゃないだろ、バカヤロー!!」


カガリに反論するけれど、密かに嬉しくもあった。
どこかに一緒に出かけられることを考えると、それもまたいいかもしれない。


「あ、お前。ひと月は謹慎処分な」

「えぇええええ!?」



それはひと月後のお楽しみになった。



End


……あれ?
男らしいアスランにドキ☆のはずが、完全履き違えたよコレι
ドキはドキでも、違うドキだよこれじゃあ!!
つか、アスランもドキっとしとるし(д

……深夜のテンションで書いてはいけませんねι
勢いって怖い……


こ……これはありですか、ハギさんιι





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