book2

□柔らかな溺愛
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最近気付いた事がある。




*やわらかな溺愛





「……まただ」


夜気が付くと、アスランの腕の中にいることが多い。
なんだか身体が重いなと思うと、腕が絡まっていた。ころんと寝返りを打つと、捕まえられて引き寄せられる。


「……あ」


本当は起きているんじゃないかと、じっと顔を見つめてみる。意外に長い睫毛と、整った顔立ち。少しだけ幼い感じがする。

……いや、そうじゃなくて。

そっと顔に手を伸ばす。そういえば、あまりじっくりと触れたことがない気がする。
つん、と頬を突っつく。少し鬱陶しそうに顔を歪めた。

ふにふにしてる……

ぺたりと両手で包み込む。高めの鼻の先に、口付ける。
普段こんなにも触ることもないから少し楽しい。


「あーすらーん」


小さな声で名前を呼ぶ。ぴくりと眉が動いたけれど、どうやら本当に寝ているみたいだった。
抱きしめられる事はキライじゃないし、夜に一人で寝るのも好きじゃないから嫌ではない。
ごそごそと動いて、胸のあたりに耳を付ける。
トク、トク、と鼓動を刻む音がする。規則正しく刻み続けるその音は、とても安心する。
だけれども、時々不安にもなる。


もし、キミが離れていったら、

一度知ってしまった、この腕のぬくもりを忘れる事はできるだろうか。


もし、また離れなければいけなくなったら、

こうして、捕まえてくれるだろうか。



少し緩んだ腕から這い出すと、ぐっと腕を掴まれた。



「……起きてたの?」

「普通、あれだけされたら起きるだろ」

「いつから?」

「ほっぺた突かれたとき……かな」

「言ってよ!?」


自分の行動に恥ずかしくなって、手を振り払った。けれど、いくら払っても腕を離してはくれない。それどころか、ぐいっと引っ張られて抱き寄せられた。


「いい加減、放してよ」

「やだ」


短くそう言うと、頬と鼻とそれから口にキスされる。


「じゃ、おやすみ」

「んなっ!?」


しっかりと抱きしめたまま、目を閉じるとまた眠ってしまった。
押しのけようとしても、動かない。身動きできないまま、ふうとため息を付いた。


「なんか……あほらし。寝よ」


ごちゃごちゃと考える事がめんどうになった。
目を閉じると、すうすうと寝息が聞こえる。
自然と眠けがやってきて、まどろみの中へ落ちていった。






翌朝。


「……寝違えた」

「自業自得だろ」

「うぅ…アスランの所為だ」


ズキンと走る首の痛みに、やっぱり少し放してくれないかなぁと思った。






End


お題サイトって、素晴らしい!!タイトルから話が考えられる。
ものすごく、お題サイトに助けられてます!!

やわらかな溺愛。
アスランはあんまり柔らかくなさそうですねー。
どっちかと言うと、「激しく溺愛」←

そしてこのネタ。
天河(天は赤い河のほとり)になんかこんな感じのがあったんですよ。
まったく別物になりましたけどね←







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