book3

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※学パロ





ムカつく!
ひっっじょーに、ムカつく!!



「おい、またアイツがトップだってさ」

「すごいよなー。転校してきてからずっとだぜ」


張り出された中間テストの成績表に、堂々と書かれた一位の名前。それは、出来る事なら見たくもない名前であった。

“アスラン・ザラ”

この名前の所為で、僕の日常は音を立てて崩れ去っていった。ちなみに、僕の順位は二位である。
だからといって僕が一位に拘っているというわけでもない。そもそもが、あの天敵であるアスラン・ザラに負けたという事が僕のプライドをズタボロにしたのだ。
名門と名高いこの学園で、常にトップを走ってきた僕をあっさりと貫き去って、彼は常に満点をはじき出していた。成績優秀、それに咥えて家柄もいいらしい。そして、あの外見。


「キラ、おはよう。今日もホントに可愛いよね」


無駄にキラキラとしたオーラを出しまくるこの人物こそがアスラン・ザラ。僕から、平穏を奪い去った張本人。
ちゃらちゃらとしていて、いかにも遊んでいそうな彼は、期待を裏切る事もなく遊び人らしい。学園に広まる噂は数え切れず、中には妊娠させておろさせたなんていうのもある。
授業にもほとんど出ていないし、だからと言って勉強しているところを見た事がない。
やつは所謂天才肌の持ち主であり、努力とは無縁の人物なのだ。


「どうした、キラ。おはようは?」

「お、おは……よう」


そのアスランの登場に、女子達が黄色い声を上げる。
僕は、震える手を何とか納めようと拳を作る。にこりと笑って、アスランは僕の頭を撫でようとする。もちろん、それを寸でのところで避けたけれど。
そう、アスランは、黄色い歓声を上げる女子達を相手することなく、なぜか男である僕にまとわり付いてくるのだ。


「あれ、キラどうしたんだ。顔が強張っているけど?」


誰の所為だと思っているんだ。
背が高いことをいいことに、わざわざ顔を覗き込んでくる。はっきり言って、嫌味にしか思えない。しかも、なぜか取り巻きの女子達はキャーキャーと甲高い声を上げているのだ。まったく、理解できない。僕とはまったく違う次元の人間だということだけは、大いに理解できるのだが。


「誰の所為だ!! 僕に構うなと言ってるだろ!」

「どうして? 俺が誰に構おうが、それこそ俺の勝手だろ?」


やめろ、顔が近い!
にこりと満面の笑みを浮べたアスランは、壁に手を付いて僕の行く道を塞ぐ。影になった彼の顔が、本当に近くにあって、僕は彼の顔を押しのけた。無駄に整った顔は、男から見てもカッコいいと言わざるを得ないから余計に性質が悪い。
それこそ、見た目だけなら彼女なんて作ろうと思えば幾らだって作れるだろう。それなのに、何故僕なのだ。


「キミさ、いい加減に僕をからかわないでくれる?」

「からかう?」


アスランの目が、すっと細められた。その相貌に、思わず怯む。美形がすごんだ顔は迫力が違う。だからと言って、引くことも出来ない。


「からかう意外になんだって言うんだ! 僕はとても迷惑していると言っているだろ。もう僕には付きまとうな!!」


ぱんと、彼の腕を叩いた。束縛が取れて僕は歩き出そうとして、腕を掴まれる。
振り返ると、やはり彼が捕まえていた。それも、いつものことなので僕は文句を言おうと口を開きかけたのだが。


「俺は、いつだって本気さ。お前はもうすぐ俺のものになるよ」


宝石のような翡翠色の瞳が孤を描く。
自信たっぷりに笑った顔は、今まで見た事がないぐらい真剣に見える。
僕はその手を思いっきり振り払った。


「っば、バカじゃないの!!」


思いのほか、簡単に外れたその手に驚くも、僕は振り返ることなく走った。
なんなんだ。
頭の中に浮かんだ疑問と困惑、そしてヤツの顔を無理やり振り払うように全力で走る。
ばたばたと人を掻き分けて進んで、廊下の角を曲がったところでよく知った黄色い髪を見つける。


「カガリィイイイイ!!」

「ぬぁ!! どうした、キラ!?」


その勢いのまま、双子の姉であるカガリに抱きつく。
カガリは特に理由を聞くことなく、僕に抱きつかれたままだった。よしよし、と背中を擦ってくれる。仄かに赤らんだ顔を隠すと、カガリはふっと息を付いた。


「やれやれ。まったく、手の掛かる弟だ……」





“慌てて離した手”







そうしなければ、僕はガラガラと壊れてしまう。







end

ちょっと珍しく。キラが一方的にアスランのことを嫌ってます。
たまにはこんな設定もありだろうと……ツイッターでともみさんと盛り上がった話からです。
案の定、設定がいまいち使いこなせてませんがι
やっぱり、仲良し双子ちゃんが好き☆←








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