book3

□かまってよ
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嬉しそうに携帯の画面を見つめる恋人に、少しの嫉妬。

楽しそうなその顔に、むっとした。




*かまってよ




つい最近、保志くんはツイッターを始めたらしい。嬉しそうにそう報告してくるものだから、はいはいと頭を撫でてやった。
今もまた、じっと携帯の画面を見ながら何かを打っている。業界の中でも、ツイッターをやっている人は多い。仲の良い友達や、関係者と繋がって、その返信にどうやら悪戦苦闘といったところみたいだ。


「えーっと……むぅ、んー??」


きっと声が出ていることにすら、この子は気付いていないだろう。集中すると周りが見えなくなるのは、昔から変わっていない。
いつもだったら、遠慮してなのかこちらに凭れてこないのに、今はすっかり俺の肩に凭れかかっている。長い付き合いなのに、何に遠慮しているのかよく分からないけれど、肩に掛かるこの重みは少し心地いい。


「で、返信はできた?」

「んー多分…できたはず、だと」


保志くんがツイッターを始めるやいなや、ファンの子たちがどんどんとフォローし始めて。それも、ようやく落ち着いたらしい。
最初は、そのあまりのカウンターの回り方にわたわたとして。
友達や関係者、フォローしたい人たちとファンの子がごちゃごちゃになって、パニックを起こして。そんなところを見ているのは、とても面白かった。笑ったりすると、拗ねそうだから笑わないようにはしていたけれど。


「そう。よかったね」

「でも、まだフォロワーさんまったく把握できなくて……」


ついには2万を越えたらしいフォロワーを把握するのは、誰だって無理だとは思うけれど。だれよりも、ファンの子を大切にする保志くんらしいというか。


「まあ、初めてなんだし。徐々に、慣れれば良いんじゃない?」


保志くんは相変わらず、うーんと唸っている。本当に凝りだすとのめり込むなあ。
我ながら心が狭いとは思うけれど、面白くない。
保志くんは、携帯の画面とにらめっこしたまま。その目を手で塞いで、携帯を奪った。


「わ、ちょっと何するんですか!?」

「ん、なんて打ってるのかなーって」


何か押したような気がしなくもないけれど、奪った携帯の画面を覗き込む。あ、と声が漏れたところで、横から携帯が奪われた。


「あぁあああ!! ちょっと、どうするんですかコレ!?」


指が触れたところが、運悪く決定ボタンだったらしくツイートしてしまった。しかも、「、」だけで。


「あ、ごめん」

「ちょ、わあ!! これ、どうやって消すんだ!? え、あー分かんねぇええええ!!」


みるみる慌て出した保志くんに、少しの罪悪感。
せっかく一緒にいるのに、携帯ばっか見ているのが悪いんだよ。まあ、俺のそんな心なんて、この子はまったく気付いてなさそうだけれど。


「石田さん、分かります!?」

「俺が分かる訳ないでしょう」

「ぎゃあ!? ちょ、みんなリツイートしすぎ!!」


慌てふためくばっかりの保志くんは、誰に聞くよりも先に俺に聞いてきた。それに少しだけ心が満たされる。

百面相しながら携帯をいじくるキミは、見ていて飽きない。だけど、もう少しこっちを見てくれてもいいんじゃない?


そう思いながら、俺は携帯を取り出した。
ツイートの削除を知っていそうな友人に、電話をかける。


「あ、俺だけど。ごめんね、ちょっとさあ……」

「うわーん、石田さぁああん!!」

「わかった。分かったから、ちょっと待ってて!!」


しがみ付いてくる保志くんを慰めながら、ふと考える。
もしかしてこの子がツイッターに慣れるまで、これにつき合わされるのかと。それを考えて、ため息を付く。

まあ、なんだかんだと言っては付き合ってあげるけどね。




End


久々の石☆!!
祝保志さんツイッターデビュー♪
毎回ツイート楽しみです!! 謎のツイート「、」のみのは本当ですよ。
この話の元ネタはムラさきさんです。
もう触発されまくりですwww

にしても、保志さんのツイート可愛すぎる!!
顔文字もだけど、なんかホントに愛おしい!!!







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