book3
□つぶやく
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「ところで、石田さんはツイッターやらないんですか?」
*つぶやく
唐突に切り出された話に、少しだけ考える。確かに、周りでもやっている人は多い。
「え、うーん……」
「やりましょうよ!! 俺、一番にフォローしますよ」
嬉しそうな顔に、少しだけ悪戯心が芽生える。保志くんは、俺のことを優しいというけれど、一般的にはきっとそう表現はされないだろう。たぶん、この子にだけ特別に接してしまうのだと、自分でも分かる。
だから、時々みょうに悪戯したくなってくる。
「やだ、めんどくさい」
「えー、やりましょうよ!!」
腕を引っ張ってくる手を捕まえて、そのまま押し倒す。いきなり天地が逆転したのに、保志くんは目をまん丸にさせていた。昔よりも伸びた髪は、とてもこの子にあっていて出会ったころと同じぐらいの長さになっていた。額に掛かった前髪をどかして、そこに口付ける。目を瞑った瞼にも同じように。
「必要ないんだよ」
「え、どういうことです?」
開いた目がじっとこっちを見つめる。変わらない純粋な目。
その瞳の中に、自分の姿が写っている。
「だって、こんなにも近くにいるのにさ、必要ないでしょ」
少しさせた顎を掴んで微笑むと、保志くんの頬が赤くなる。視線をそらそうとするのを阻止するように、唇を奪う。
あまり人と馴れ合うことが好きじゃなくて、仕事の付き合いもあまりしてこなかった。それなのに、この子と出会ってからどんどんと輪が大きくなった気がする。
本来の自分は、壁を作ってそれ以上踏み込まれないようにしていたのに。随分と、それも変わった気がする。出会ってから、ゆっくりと俺を変えていったのはこの子。
とんと胸を叩かれて、視線を向けると苦しそうな保志くんの顔があった。いつまでたってもどうして慣れないのか不思議でならない。これぐらい、もう少しなれてくれてもいい気がするけれど。
唇を離すと、保志くんの胸が上下する。肺活量は一般人よりもあるはずなのになあ。
零れた唾液を舐め取る。潤んだ瞳に、加虐心がふつふつと沸いてくる。
「べつに、初めてもいいんだけどさ。こういう最中に、携帯見だすけど良い? ほら、返信って待たせると失礼じゃない」
「え、それは……」
テーブルの上に置いてあった携帯を右手に取る。戸惑った顔のままの彼のシャツの裾から、左手を忍び込ませた。びくんと肩を揺らすけれど、視線は携帯に向けたまま。
「あ、やだぁ!!」
「あ、ちょうどメールが来てるね」
左手でわき腹あたりを擽る。ちらりとそちらを見ると、どうしたらいいのか分からないといった顔。視線を携帯に戻して、シャツのボタンに手をかけようとしたところで、左手が押さえられた。
「やだぁ、ちゃんと…俺を見て」
潤んだ瞳が嫉妬している。くすりと笑って、携帯を閉じた。
「嘘だよ。君がいるのに、こっちを優先するないでしょ」
携帯をそのあたりに放る。絨毯の上だから、壊れないだろう。
まんまと引っかかってくれた恋人に、笑みが零れる。
ごめんね、君が考えている以上に、俺は汚いかもしれないよ。
保志くんの顔のすぐそばに手を付いて、顔を近づける。唇を重ねる。
柔らかくてあたたかいこの唇から、君は人を魅了させる声を出す。いっそのこと、誰にも聞かせたくないけれど、それがこの子の生き甲斐なのだから仕方がない。
いや、この仕事についていなければ、こうして会うこともなかったのだから感謝しなくてはいけない。
「ね、保志くん」
「ひゃ、ん……っ、な、んです、か?」
「好きだよ」
この子の好きなとびっきりの声で、つぶやいた。
end
滾ります。どうしよう、この胸の高鳴りハァハァ←←
保志さんクラスタもですが、石☆ももっと広まればいいのに!!
萌ゆるこの気持ちを誰かと語り合いたい><
というわけで、一緒に語ってくれる方募集中\(´▽`)/