book3

□にゃん♪
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これは幻覚なのだろうか、いや確実に見える。
あるはずのない、しっぽと耳。




*にゃん♪




「あすらーん」


飛びついてきたかたまりを受け止めて、反射的に抱きしめる。甘いミルクココアのような髪を撫でてやると、嬉しそうにキラの目が細くなる。ネコのようにキラは擦り寄ってくる。
もともと甘えただが、こうもいきなり抱きついてきたのはどうしてだろうと考えて、まあいいかと早々と思考を切り替える。


「どうした、キラ?」

「んー。なんか抱きつきたくなった?」

「なんだそれ」


ぎゅうと抱きついて離れないキラをそのままぶら下げて、近くの椅子に腰掛ける。膝の上に乗ったキラは、そのまま首に抱きついてキスをせがむ。その申し出を断ることなく、口付ける。キラの口内はとても甘い。もともと甘い物好きなのだろうかとも考えるが、甘味のあまさなら即刻拒否するだろう。


「アスランもっとぉ」

「はいはい」


薄く開いた唇に舌を潜り込ませる。中で待っているキラを絡め取ると、ぴくりと肩が反応する。空気を求めて離れた唇を追いかけて塞ぐと、苦しそうに眉根が寄った。くちゅりとこぼれる音の合間に空気を吸って、キスを繰り返す。
ようやく満足して唇を離すと、紅葉した頬と涙の浮かんだ菫色の瞳がこちらを睨んでいた。


「うぅ、ヒドイ」

「どうして、キラが言ったんだろ?」


ぽんと軽く握った手が、肩を叩く。その手を捕まえて、指の背に唇を落とす。左手の薬指に、少しくぼんだ指輪の痕。


「どうしてつけないの?」

「だって、恥ずかしいもん」

「せっかくあげたのに」

「ここにあるからいいの」


キラは服の上から胸元を押さえた。その手をのけて、白い軍服のホックを外す。シルバーの鎖につながれた指輪が、胸元に光っていた。形のいい鎖骨に、シルバーの色がよく似合う。


「うひゃあっ、くすぐったい!!」


鎖骨のすぐしたに唇を寄せて、吸い付くと綺麗に赤い痕がつく。昨日キラに付けられた反対の方向に。
キラは笑って、頭を抱きしめた。髪があたってくすぐったいと言いながら。


「アスランもぎゅー」

「なんだそれ」

「いっつも、僕が抱きしめられてるから?」


ぎゅうと頭を抱きしめられるのは、確かにあまりないことで、でも意外と気持ちがいい。物心ついてから親にもやってもらった記憶はない。近くに聞こえるキラの鼓動が、とても心地いい。だけれども、この格好はかなり気恥ずかしい。ふうとキラの首筋に息を吹きかけると、腕が緩んだ。


「もう、何するのさ!」

「敏感なキラが悪い」


キラがしたように、茶色い頭を抱きかかえる。幻の三角耳がぺたんと伏せたような気がした。きっとキラがネコなら、そんな感じ。しっぽが不服そうにぺしぺしと椅子を叩く。
くすくすと笑うと、膨れたキラがこっちを見た。


「キラは抱きしめられるのキライなの?」

「キライじゃない」

「嫌ならやめるよ」

「やだ!!」


ぐりぐりと胸に押し付けてくる頭をぽんぽんと叩く。ぎゅうと握られた服に皺ができる。キラの背中を撫でて、茶色い頭に顎を乗せた。


「キラは可愛いなあ」

「可愛くないもん。アスランのが可愛いもん」

「……多分、それ言うのキラだけだから」

「小さいときはあんなに可愛かったのに」

「キラは昔から可愛いよ」


膨れた頬にキスをする。



「貴様ら、いい加減公共の場でいちゃつくなァアアアアアアア!!」


「「あ……」」


ぴきぴきと今にも血管が切れそうなイザークに怒られた。





end


ハギさんの絵に触発されて、いちゃつくアスキラが書きたくなりました。
公衆の面前でも、堂々とこいつ等ならいちゃつくでしょうね
そして、ザフトの腐女子率が急上昇←←






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