book3
□しあわせのかたち
1ページ/1ページ
気付いたら、誕生日を迎えていた。
携帯のディスプレイは、5月30日0:00を写し出す。
*しあわせのかたち
仲の良い友達や仕事仲間から、おめでとうのメールが届いた。最近始めたツイッターにも、多くのファンからおめでとうのツイートを貰う。ベッドの上で寝転びながら、それらを見ているとひょいと携帯が奪われた。
「何見てるの?」
「あ、石田さん」
ベッドの端に腰掛けた石田さんの重みでマットが傾く。ころりと寝返りを打って近づくと、石田さんは携帯の画面を見ていた。お風呂に入ってきたばかりで、髪が濡れている。首にかけたタオルで髪を拭きながら、途端にハッとした顔になる。
「しまった、もうなってた」
「何がです?」
「だから、キミの誕生日」
「あーそうですね」
ほかほかと温かい腕を捕まえると、同じボディーソープの匂いがした。その匂いがなんとなくくすぐったくて顔を埋めていると、頭にぽんと手が乗る。わしゃわしゃと髪を撫でられて顔を見上げた。
「ごめん」
「なんで、謝るんですか?」
「いや、だから……」
視線を逸らした石田さんの顔は少しだけ赤い。そのまま顔を隠すようにタオルを被ってしまう。ずりずりと腕だけで移動して、顔を覗き込む。石田さんと視線が合ってにいと笑ったら、いきなり顔にタオルを被せられる。そのままタオルを押さえ付けられて、膝の上に沈んだ。
「相変わらずの天然っぷりで……」
「ちょ、苦しっ!」
「男心が分からんやつだ」
「なんですかそれ!?」
足をばたつかせると、手が緩んでタオルが取れた。すぐ近くに石田さんの顔があって、黒い瞳に自分が写り込む。ぺたりと頬に手が当てられて、額に口付けられた。
「おめでとうって、最初に言いたかったのに」
「あ、なんだ」
「なんだって、保志くんキミさあ……」
「いいんですよ」
石田さんの腰に抱きつくと、やっぱりとても温かい。触れているだけで、ほっと落ち着く。くすくすと笑ったら、ぽんと頭を叩かれた。
「こら、笑うな」
「だって、なんか可愛い」
「可愛いって……キミに言われてくないよ」
「うへへー」
「ちょ、もしかして酔ってる!?」
「あのくらいじゃ、酔いませーん」
今日は誕生日だからと、手料理を振舞ってくれた。しかも、ケーキまで作ってきてくれて。贅沢すぎるほど、石田さんを独占して。誕生日をこうして一緒に迎えてくれるだけで嬉しいのに、これ以上望むものはない。
「いいんですよ。石田さんが今日、ここにいてくれれば」
「……保志くん」
「幸せですよ、僕は」
起き上がって視線を合わせる。首元に抱きついて、ありがとうを伝えた。
抱きしめ返してくれるその腕があることが、僕にとってはなによりも嬉しい。
「誕生日、おめでとう。俺の傍にいてくれて、ありがと」
少し濡れた冷たい髪が頬に当たって、唇がふさがれた。
同じ日の昼ごろ。
『ぱっぴ〜☆ありがとう!分かった!ぱぴぱぴを目指すよ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆』
ツイッターに届いたおめでとうの返信をしていたら、思いっきり石田さんは不機嫌そうだった。
「あのー…どうしました?」
「うるさい!」
「なんで、いちいちそんな可愛らしい返信してるんだコイツは」という声は残念ながら保志くんには届かない。
End
ぺらっぺらな内容になってしまったorz
なにはともあれ、保志さんお誕生日おめでとうございます!!!
あなたに踊らされてはや十数年……今も変わらず大好きだぁああああああ!!!
そして、ツイッターの可愛らしさに悶えております……あんな可愛い40歳いないぜ!?