book3

□parallel distortion
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あの場所で、出会ってしまったことがもしかしたら始まりだったのかもしれない。
ゆっくり、ゆっくり、広がってしまった溝は、再びふさがる事などあるのだろうか。




*parallel distortion




フェンス越しに再び再会したとき、あの緑の鳥が飛んでいた。



Side.A




ヘリオポリスで偶然であった幼馴染は、いつの間にか敵になっていた。同じコーディネーターでありながら、ナチュラルに味方した。何かの間違いであって欲しかった。無理やり利用されているだけなら、良かったのに。しかし、それ以上に優しいアイツは、友達がいるからと泣いていた。
よく笑って、泣き虫で、甘えたなあの紫色の瞳に涙を浮べていた。そんなアイツの隣にいたのは、いつも俺のはずだったのに。


「どうしてだ、キラ!」


壁にたたき付けた拳が、じんと痛んだ。
アイツの所為で死んでいった仲間たち。日に日にその数を増していく。軍の中では、もはやあのMSの名前を知らないものはいない。憎むべき敵として、ストライクの名前は知れ渡っている。だけれども、まだそのパイロットの名前の顔と名前は知れ渡っていない。
ここに、この部屋にこうして飾ってあるこの写真が、無邪気に笑っているコイツがあのパイロットだという事は、知らないものの方が多い。敵になったからといって、破り捨てる事ができないこの写真を見たら、あいつはどんな顔をするのだろうか。


「ならいっそ、あいつらから引き離してやろうか」


ハハハと乾いた笑いが部屋に響く。少しずつ何かが音を立てて崩れていく感覚がした。







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