basara
□Reine Schokolade
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道でばったりと会った佐助は、手にした小さな紙袋を大事そう三成に見せてくれた。
*Reine Schokolade
「と言うわけで、チョコをくれ」
「はあ!?」
バレンタイン当日。いきなり三成から呼び出された家康は、これはもしやと淡い期待を膨らませていた。それだけに、会って唐突に言われたその言葉に、あんぐりと口を開ける。
「いや待て、三成。まったく理解できんぞ!?」
「何を言っておるのだ、貴様は! 今日はチョコをふんだくる日なのだろ? だからチョコを寄越せと言っておるのだ!!」
だんと踏み込んで、三成は宣言する。
家康は、三成に間違った知識を植え込んだ輩を心底怨んだ。そうでなくても、こんな日に呼び出しを食らったのだ。期待しない方がおかしい。一応、お付き合いしている関係にあるのだから。しかし、と家康は考えをめぐらせた。
「いやいや、チョコをやるのはまったく構わん。お前に何かをねだられることなんて、そうそうないからな」
にい、と家康は笑った。バレンタインの知識は間違っているのだが、そう考えればとても可愛らしい。もしかしたら、三成なりにバレンタインを祝おうとしているのかもしれない。
「なっ!? 強請ってなどいない!! 私は、貴様からふんだくるだけだ」
「ほう…しかし、チョコをふんだくるにしても、わざわざ儂からふんだくらんでもよかろう?」
三成の透き通った瞳を見つめると、ちらりと視線が外された。相変わらずの白い肌が、うっすらと赤くなった気がする。家康は銀色の髪をゆるゆると撫でた。ぱしんと払いのけられる手を拒んで、それでもその髪を撫でる。
「鬱陶しい……やめんか、貴様!!」
「いやあ、かわいいなあと……」
「なッ!? だから、何なんだ貴様は!?」
家康の胸ぐらを掴んで詰め寄った。はははと笑った家康は、三成の顔の前に掌ほどの箱を差し出す。綺麗にラッピングされたそれからは、ふんわりと甘い香りが漂う。思わず手を離した三成は、それをまじまじと見つめた。
「なんだこれは?」
「なんだって、チョコだが?」
「……なぜだ?」
「何故って、欲しかったんだろ?」
三成の手の中にそれを落とす。すとんと三成の手の中に納まったその箱と家康とを、三成は見比べた。
「貴様、今日がどういう日なのか知っているのか?」
「そりゃあ、儂だってそのぐらい知ってるぞ」
にいと笑った家康は、三成の薄い唇にちゅっと軽く口付けた。たちまち三成の顔が真っ赤に染まる。耳まで赤くなった三成は、家康に向かって手を振り上げた。三成の細い腕を、家康は捕まえてすっぽりと腕の中に納める。
「はっ、離れんか、きさっ……離せっ!?」
暴れる三成の腕を押さえて、その綺麗な指に口付ける。真っ赤になった三成は、びくっと肩を揺らした。家康は、赤く染まった耳元に唇を寄せるとそっと囁く。
「バレンタインは、好きな相手にチョコを渡すんだろ? そんなに、儂からのチョコが欲しかったのか?」
「そ、そんなこと…知らん」
歯切れの悪い三成に、家康はくすりと笑う。細く白い首筋に唇を寄せる。きゅうに大人しくなった三成に、家康は視線を向けた。家康と目を合わせようとしない三成は、手の中のチョコにぐっと力を込める。
「儂は三成のことが好きだが……三成は、どうなんだ?」
「なっ!? なんとも思っておらんわ!!」
「そうか、好きか……それは、嬉しいぞ」
「貴様、話を聞いて―――ッ!?」
顔を上げた三成の唇を塞ぐ。
そのキスを三成は拒む事はなかった。
「佐助!! 貴様、私に嘘を教えたな!?」
「えーなんでよ!! みっちゃんが、勝手に勘違いしたんでしょ!?」
後日。
佐助に詰め寄る三成を、家康は見つけるのだった。
End
い、意味不明ι
すみません、途中で力尽きた感じになりましたorz
一応、ダテサナと同じ時間軸です。幸村と分かれたあとに、三成と遭遇した佐助がバレンタインを教えてあげた的な……めっちゃ、分かり難いorz
みっちゃん、やっぱり難しい><
Reine Schokolade…ピュア(純)チョコレート。ドイツ語です。
三成は、純粋なんですが硬いイメージななので、ドイツ語にしてみました。