basara

□Ranunculus
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紅蓮と例えられる事が多い幸村。実際に、まとう衣や甲冑は真紅の色で、その長い槍から繰り出される技は、炎をまとったかのようである。
細身の身体に似合わず、軽々と操ってみせる槍からはまさに真紅の気を孕んで相手を襲う。





*Ranunculus





「政宗殿!! そろそろ降参してはいかがであろうか!?」

「ハッ!? まだまだ、これからだろ?」


幸村の槍を一太刀で受け流した政宗は、幸村の首筋に剣先を向ける。寸でのところでそれをかわした幸村は、後ろに飛びのいた。ぽたりと赤い血が、地面に落ちる。かわした際に、擦ったのか幸村の喉元にはすっと赤い線が入っていた。


「お見事。流石は政宗殿にございますな」


さっきまでのさっきが消え、ふわりと幸村は微笑んだ。ふうと一息ついて、流れ出た汗を拭っている。
刀を鞘に納めた政宗は、幸村に歩み寄った。幸村とは対照的に、政宗は蒼をまとう。六爪を操る手が、幸村の首元を捉えた。


「政宗殿?」


チクリと染みる傷に、幸村は眉根を寄せる。近い位置にある政宗の顔は、影になっていて分からない。普通ならば、首元を絞められれば抵抗をするのだが政宗がすることだからと、しばらくそのままでいると、政宗は顔を上げた。何とも言いがたい表情でこちらを見つめる相手に、幸村は首を傾げた。


「おまえ、抵抗なしかよ」

「はあ……抵抗した方が良うござったか?」


むうと唸る幸村に、政宗はため息を付いて手を離した。細めの首に付いた一筋の赤い線は、真一文についていて、もし避ける瞬間が少しでもずれていたら、おそらく首が切れていた。
お互いに手合せとはいえ、真剣勝負なのだ。そのほかにも、腕やら頬やらにも傷を作っている幸村。政宗にも、勿論今の手合せで付いた傷がある。


「……幸村」

「なんでござる?」


政宗は、幸村の首筋に口付けた。赤い傷に舌を這わせて、そこをなぞる。乾いた傷口は、鉄の味がした。
身を捩る幸村を無視して、政宗はじっと幸村を見つめた。色素の薄い大きめの目が、政宗を映す。噛み付くように幸村の唇を奪うと、抵抗できないほど深く口を吸う。まるで幸村を味わうかのように、鉄の味をなくすように。
最初は身を固くしていた幸村だが、ふっと力が緩んで政宗の背に腕を回した。
びくりと広い背が反応して、唇が離れる。


「…ま、さ……ね、どの?」

「悪い……」


いつもの政宗らしくない様子に、幸村は伏せられている顔が見たいと手を伸ばした。東北の育ち故か、白い頬に触れる。黒い瞳にはいつもの覇気がない。


「政宗殿?」

「なんでもねぇよ。悪いな、ちと疲れてるのかもしれねぇ」


振り払われた腕には、幸村がつけた傷があった。裂けた衣の間から見えるのは、小さな赤い傷。それ程ひどいものではない。幸村は、その腕を掴むと迷わずそこに口付けた。先ほど政宗がしたように、ちろりと舐める。


「何やってる!?」

「何とは……先ほど政宗殿がしたように、某もしているのです」


隻眼の目が大きく見開かれる。一瞬呆けたような顔をしたが、ふっと口元に笑みを浮べた。


「ハッ! 上等だ」


栗色の髪をぐりぐりと撫でる。幸村の頬の傷に、口付けしてにやりと笑った。
ぷくりと幸村の頬が膨らむ。童のようなその仕草に、政宗は負けず嫌いの幸村が次に何をしてくるのだろうともう一度首元に舌を這わせた。むっとした幸村は、政宗を押し倒して馬乗りになる。見下ろされる形になった政宗は、にいと唇に弧を描いた。


「なかなか、良い眺めだな」


ちょうど目の前にあったその場所を触ると、ぴくりと幸村の肩を震えた。前開きになった幸村の衣からは、胸当てが見えるだけ。ほそく引き締まった腰もばっちりと見える。まるで、触ってくださいと言わんばかりのその体勢だった。


「あ、や、あの……政宗殿!?」

「そのまま。手、踏ん張ってな」


幸村の胸当てを外して、胸元に手を伸ばした。小さな粒をつんとひっぱる。もう片方に唇を寄せると、舌で転がす。視線をずらすと、身体を支えている幸村の腕がふるふると震えていた。


「あ…っん、や……ッ!!」


零れ出した吐息が熱を含みだす。先ほどまで薄桃色だった胸の飾りが、赤みを帯びて膨らみ出す。もどかしげに身体を捩り始める。幸村は、ぎゅっと目を瞑って耐えていた。


「そんなにすると、唇が切れるぜ」


固く結ばれた唇をこじ開けて、舌を入れる。少し切れてしまったのか鉄の味がした。しかし、先のような嫌な味ではなく、むしろ甘く感じる。逃げるように引っ込めた幸村の舌を追いかけて捉える。その間も、政宗の手は器用に幸村の胸をいじっていた。
ふっと、幸村の身体から力が抜けて政宗の上に倒れこんでくる。びくびくと肩を揺らす幸村は、視線が定まっていなかった。


「Kissで達っちまったか」


はあはあと肩で息をする幸村の背をさすってやる。一房だけ長い髪を救い上げて、止めていた紐を解いた。ふわりと流れ落ちた髪は、女に負けないほどに綺麗なものだった。


「も、申し訳ござらぬ」

「あ? 何がだ?」


真っ赤な顔の幸村は、いつもよりさらに幼く見えた。上から退こうとする幸村を阻止するかのように、政宗は抱きしめる。肩に掛かっていた髪が、政宗の頬に当たる。


「Very sweet……Aftre all,I love you」

「な、なんと申したのですか?」

「自分で調べな」

「政宗殿は、意地悪でござる……」


ふくふくと膨れた頬を突く。赤く染まった頬は、温かい。
赤く濡れた唇と、赤く染まった頬。
幸村にはやはり、赤が似合う。
血で染まった赤も良いと思ったが、こうして赤に染め上げるのが一番似合う。


「俺以外にその身体、傷付けられるんじゃねぇぞ」

「政宗殿こそ」




End

久々のダテサナ。
書く書く言ってて、後回しになってたダテサナ。
なんだか、よくわからない話になりましたorz
政宗は、根暗っ子時代の影響で、大事な人がいなくなるのを恐れる人だと良い。
そのかわり、ほかには容赦ないとか?
この政宗なら、最終落ちるとこまで落ちたら、幸村拉致監禁すると思う。

ちなみに、タイトルのRanunculus(ランナキュラス)は、1月20日の誕生花です。
花言葉「華やかな魅力」


こんな花です。色は赤もあるようです。

参考:366日の誕生花





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