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□ねつ
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あつい。

あつい。

身体中の血液が沸騰してしまうほど。


身体の内側から発熱して、焼き焦げてしまいそう。


狂いそうなほどの喉の渇きに、首を掻きむしった。



「……あ、いや…だ。あぁ!!」


助けて。

誰か、助けて。


この熱に飲み込まれてしまう。


「……しぃ…」


手を伸ばす。

助けて。

暗い闇の中には何もなくて、手は何も掴めない。


「た……け、て…」


両腕を抱きしめる。


喉の乾きは収まらず、熱は上がるばかりだった。


何も写さない瞳は、役に立たない。


赤い目を開いても、闇が広がるばかり。



「そ…しぃ……そぅ、し」

絞り出した声は、部屋の中に消えるだけで意味をなすことはなく、乾きだけが酷くなる。



救いを求める手は、誰にも取られることはない。


助けられる資格がないから。

助けなければいけなかった彼を助けられなかったから。


「あ、あぁ………っ!!」



見えないはずの目が映すのは、あのシーンばかり。

壊れた映写機のように、繰り返しその場面を映し出す。

煌めく金色に飲み込まれる姿。

手を伸ばす。

届いて。

精一杯伸ばしたはずの腕は、届かなかった。


守るための腕なのに、助けられなかった。


煌めく。

微笑んだ彼の顔。


最後に残した言葉は何だった?


「い、や…だぁ……や、やめ!! だ………やぁあああああ!!?」




贖罪を求めて身体を引きずった。

腕を伸ばしても、届かない彼方へ。




誰か、


いや、誰かではない。




求めるのは彼一人。




「……そ…、しぃ」







差し伸べた手は、確かに取られていた。


赤い幻が、包み込む。


泣かないで。

どうか、苦しまないで。



苦しむ必要なんて、ないのだから。


重ねた手はするりとすり抜けた。



どうか。



泣かないで。



たとえ触れられないとしても、そばにいる。




赤い目からこぼれ落ちた涙。


そっと手が伸ばされた。




“泣かないで”



頬を伝った涙がその手に吸い込まれた。





end




離れていた期間。
助けられなかったことへの罪と
願っていた平穏な日常に彼だけがいないことへの罪

そんな罪の意識に押しつぶされそうになりながらも、誰にもそのことは言えず、一人もがき苦しむ。

総士さんは、クロッシング状態にある訳なので、そんな一騎さんの様子もすべて見えています。


とか考えてみた。


意味不明過ぎたorz


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