蒼穹

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※高校生パロ







「……一騎」


一騎と目を合わせようとすると、ふっと視線をそらされる。べつに、怒っているとかそんな感じではない。ぎこちなく目を伏せた一騎は、少し後ろを歩き出した。
元々人付き合いの得意ではない一騎。幼馴染でかれこれ十数年の付き合いの中で、こんなことはなかったと記憶している。
後ろを歩く一騎は、当然視線を合わすことはない。
唯一の救いは、途中でたまたまあった来主が間にはいったこと。


「で、一騎はさあ……」


楽しそうに話す操に、一騎は相槌を打っている。
ときどき来須はこちらにも話しを振るのだが、曖昧な返事しか出来ずに話しはそこで途絶えてしまう。


「だぁーっ総士、ちょっとこっち来て!!」


ぐいと来主に腕を掴まれて、少し前に移動する。一騎の目が不思議そうにしていた。


「総士、一騎と何かあったの?」

「……特になにも」

「だったら、なんで一騎寂しそうなの!!」

「……寂しそうなのか?」


来主は。はあと盛大にため息をついた。
いつからか、そういえばお互いが何を思っているか分からなくなった気がする。小さな頃は、何をしていても見ればすぐに分かったし、言わなくても通じていた気がする。
それが変化したのはいつだったのか。


「なあ、総士。最近ちゃんと一騎と会ってるか?」

「……ああ、会って……」


来主にいわれて、はたと気付く。最近、生徒会の行事やなにかで遅くなる事が多く、自然と帰りは別だった。しかも、クラスも別のため、朝ちらっと顔を合わすぐらい。
入りたくて入ったわけではない生徒会の仕事だが、一番したの総士は何かと雑用が多くて忙しい日々だった。


「会って…は、いた」

「けど、ちゃんと会話してないだろ?」


痛いところを疲れて黙り込んでいると、びしっと来主の人差し指がこちらに向けられた。人に指を指すなと跳ね除けると、ぷくりと膨れた顔が睨んでいた。


「総士バカ、バーカ!!」

「子供か、お前は」

「そんなんだったら、俺が一騎貰っちゃうからねー」

「わあ、ちょっと」


いきなり腕を引っ張られた一騎は、すっぽりと来主の腕の中に納まった。ぱちぱちと瞬きをする一騎は呆然としている。ぎゅうと来主に抱きしめながらも、嫌がる素振りは見せない。


「んー…一騎、かわいい」


「なんだよ、来主。子供みたいだぞ」


くすぐったそうに身を捩る一騎を見て、ふつふつと苛立ちが湧き上る。自然と手が出ていた。一騎の腕を引っ張って引き剥がそうとすると、来主はすんなりと一騎を離した。
一騎と視線がぶつかる。驚いた目は、今度はそれなかった。


「あ、の……」

「一騎、行くぞ」


そのまま一騎の手を引っ張って歩き出す。少し早い速度で歩き出すと、一騎は歩幅を合わせて少し後ろを歩き出した。ぐいっとその手を引き寄せる。
隣に並んだ一騎は、少し頬が赤かった。



歩いていってしまった二人を、来主は見つめる。
一騎の横顔はとても嬉しそうだった。



「あーあー。なんで俺が二人の世話までしなくちゃいけないのさ。まったく」







“となり同士がいちばん自然”








End


うまく設定が生かしきれずorz
消化不良みたいな感じになってしまった……









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