蒼穹

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「なあ、なあ、聞いてくれよ総士!!」


無邪気に話しかける君の姿を見ると、なぜかいつも心がかき乱される。



高校に入ってから、一騎の性格は変わった気がする。クラスの人たちともよく話すようになったし、友達も増えた。昔は僕の後ろばかりにいた気がする。


「来主がな、この間……」


僕が知らないことを話し始める。最近は、生徒会の仕事も増えて一緒にいることも少なくなったから、それは仕方がないこと。しかし、僕が知らないところで楽しそうにしている一騎を想像すると、何故か心がざわつき始める。
来主は、高校に入ってから転入してきたクラスメイト。人懐っこい明るい性格で、すんなりとクラスにも馴染んで何故だか一騎によく懐いている。


「なあ、聞いてるのか?」

「あ、ああ」


空返事だという事がすぐに伝わって、一騎はぷくりと頬を膨らませた。人の気も知らないで、というのは僕の身勝手な考えだ。


「なあ、一騎」

「どうしたんだ?」


一騎は僕のほうを向いて、首を傾げた。くるくると表情がよく変わる。この表情を知っていたのは僕だけのはずだったけれど、最近は教室でもよく笑っているのを見かける。


「学校、楽しいか?」

「うん!!」


引っ込み思案で、人の輪に入ることが出来なくて、いつも一人で教室にいた。幼馴染の僕だけの前では、その性格も引っ込んで笑っていたけれど。


「そうか、ならいい」


幼馴染の成長は喜ぶべきなのだろう。
新しく知り合ったという奴に貰ったというお菓子を、一騎は僕の目の前に差し出した。


「今度、なんか作ってやる約束したんだ」

「へぇ。料理は久し振りなんじゃないか?」

「うん。総士にも食べさせてやるよ」


嬉しそうに話す一騎の顔。

独り占めしてきたはずのその顔は、皆に知れてしまった。


心がざわついて、時々ふと何かの衝動を抑えきれなくなってしまう。


「ああ、分かった」


この感情は、なん言うのだろうか。

これに名前をつけてしまえば、楽になれるのか、それども……






“好きかも、しれない”








でも、まだしばらくは気付かないフリをしよう。






End



総士→←一騎なかんじですかね?
小さいとき一騎さん苛められてた的なかんじです。
で、総士の前だけはすっごい笑顔なんです!!

まだ付き合ってないので、そろそろ来主か真矢あたりに引っ付かせてもらいたい。











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