蒼穹
□渇いた瞳
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廊下を歩いていたら、突然手を引っ張られた。
*渇いた瞳
「なっ、なんだよ!?」
壁際に追いやられる。前髪で総士の表情は見えない。耳たぶを舐められる。びくりと身体が反応する。首筋に顔を埋められて、抱きしめられる。
総士らしくないその行動。何かあったのだろうかと、抱きしめ返す。総士の長い髪を撫でた。触り心地のよいこの髪を触るのは、久し振りな気がする。
「そう、し?」
顔を覗き込む。唇がふさがれた。触れるだけで去っていこうとするのを追いかける。
驚いた総士の顔。そっと舌を絡めてみると、総士は答えてくれた。くちゅりと水音が漏れる。
「一騎……」
息継ぎを忘れた魚のように、酸素を求めて口を開けた。再び塞がれる唇は、溺れそうなほど深い。響いた水音が大きくなる。合間に呼ばれる名前に、息の仕方を忘れてしまいそうになった。
縋るように腕を伸ばす。掴んだのは亜麻色の髪。くんとひっぱる。
「痛いじゃないか」
「おまえが最初に手を出したんだろ」
くすくすと笑う。総士の顔はいつもと同じだった。
括られた髪を解くと、肩から滑り落ちる。
「一騎?」
「結んでやるよ」
どうしてこうなったのかと問い詰めると、しぶしぶ総士は打ち明けた。
べったりと一騎に抱きついている来主を見かけたから。
それが経緯だったらしい。
くすりと笑う。
「なーんだ」
ごめんね、と心の中で来主に謝った。
さて、どちらが先に嫉妬した……?
End
久々に総一らしい?感じにしてみました。
もっとイチャつかせたかったんですが、隣に母がいたので←←
やっぱり、総一は楽しい!!
もっと可愛く一騎を書いてあげたい><