蒼穹
□携帯画面
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真っ暗な中で目が覚めた。
*携帯画面
ここはどこだっただろうかと、一騎は目を動かす。次第に暗闇になれて行く目が、見慣れた家具を映し出す。一樹はふっと力を抜いた。
すぐ傍においてあった目覚まし時計は、四時を指していた。
べつに怖い夢を見たわけでもなく、ただ目が覚めてしまっただけ。まだ起きるには早い時刻だったのだが、目は冴えてしまっていた。
ころりと寝返りを打つ。壁にかけてあった、アルヴィスの制服が目に入った。真っ暗な部屋に、白い制服はとてもよく見えた。
一騎は手を伸ばして、机の上においてあった携帯を取った。画面を開くと、液晶の画面が光り出す。電話帳のマ行を押した。目で名前を辿っていく。
“皆城総士”
その名前でぴたりと止まる。ピカピカと点滅する光を押すと、電話番号と、メールアドレスが表示された。
メール画面を選択して、一騎は携帯から目を外した。
こんな時間にメールを送っても、返事があるわけではないし、もしかしたら寝ているところを起こしてしまうかもしれない。
電源ボタンを二度押して、携帯を閉じた。
今まで光を見ていた所為で、部屋の中の暗さが増していた。今まで見えていた部屋の中がぼんやりとしか見えなくなる。
手に持っていた携帯を枕元に置いて、一騎は目を閉じた。その瞬間に、携帯がピカピカと光り始め。メールが届いたことを告げるその音に、一騎はビクリとしながらも画面を見た。
“皆城総士”
その名前が画面には表示されていた。タイトルのないそのメールを開く。
「……空メ?」
本文もなにもないメール。
もしかして、と想像して一騎はふっと噴出した。
すぐにその名前を選択して、受話器を押す。携帯を耳に当てると、呼び出し音がなりだした。
1、 2回の呼び出し音の後に、電話は通じる。
『……一騎か?』
「うん」
一騎が返事をすると、電話越しのその相手は黙ってしまう。いつもと変わらないその声に、一騎はクスクスと笑った。
「おまえ、こんな時間まで起きてるのかよ」
『……それは、お前もだろ?』
「俺は寝てた」
総士が気まずそうにする気配が分かった。再び訪れた沈黙。
「嘘、起きてた……」
『一騎?』
「メール。なんて書こうとしてたんだ?」
『……送る気はなかったが、間違って送ってしまった。すまない』
ころんと寝返りを打つと、天井が見えた。暗闇に目が慣れて、今度ははっきりと見える。
たまたまだったのかもしれないけれど、総士と同じような事をしていたことが嬉しかった。
「べつに……いいよ」
『そうか……』
「うん。総士、明日も早いんだろ? ちゃんと寝ろよ」
『ああ、寝る』
「じゃあ、おやすみ」
『おやすみ、一騎』
ぷつりと通話が切れる。ツーツーと聞こえる音と、通話終了と書かれた画面。しばらくすると、携帯の画面は真っ暗になった。
一騎は携帯を握ったまま目を閉じる。時刻は、午前四時四七分。
もぞもぞと布団を引き寄せて丸くなる。
明日、学校であったら何を話そうか。
そう考えながら、一騎の意識は沈んでいった。
“意味深な空メール”
End
きっと、奴は一騎とクロッシングしていたに違いない←←
皆城さんならやってそうだから、冗談に出来ないですよねι
ともかく、初々しい総一が好物です。
恋する乙女全開な感じは、やっぱり学生ならではでしょう!!
今、みんなスマホでよねー……まだ私は違うんですよね
なので、携帯の描写に迷いました。なんか、時代の流れを感じるι