蒼穹
□緋色の目
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うみの色、そらの色。
長い髪の色。
見る能力をうしなった赤い目は、俺のすべてを奪っていった。
*緋色の目
目を開けても、ぼんやりとしか見ることしか出来ない。この目に今映っているのは、白くてぼんやりとした世界だった。
だけれども、べつに後悔はしていない。島のみんなを守った証でもあるのだから。
見えなくなった目の変わりに、耳と鼻と感覚が鋭くなった。そのお陰でそんなに苦労もしていない。
みんなは心配してくれるけれど、本当にもう大丈夫だった。
たとえ、本当にこの目が闇しか写さなくなったとしても。
外に出ると、波の音と風の音がする。
肌に感じる潮風が心地いい。
照りつける太陽も、以前と変わりない。
ぼんやりとした視界にも、太陽は明るく見えた。
見えなくなって、良かったのだ。
見えなくなれば、あの蒼穹(ソラ)を感じなくてすむから。
赤い目のお陰で、ソラを思い出さなくていいのだから。
おまえが消えたこのソラは、俺を苦しめるだけ。
ぼんやりとした視界には、ソラは白いままだった。
でも、ときどきどうしても恋しくなる。
見えていたときのあの色。
海の色、山の木々の色。
おまえの長い髪と、目に映ったソラの色。
“きみと一緒にこの空を見たかった”
もう一度、この場所で。
「待っていれば、叶うのか?
なあ、総士……」
end
ツイッターの診断メーカ。総一で悲恋SSからです。
なんつう、ぴったりなお題……これってランダムなはずなんですがねぇ
もちろん天地前の話しかないでしょ!!
帰りを待ちつつ、見えなくなっていく目が何も映し出さなくなる前に総士と竜宮島で空を見たいなと。
まあ、初期に書きまくってますので、今更ですがι
でも、これしか思い浮かばなかった!!