book4
□2
1ページ/1ページ
ケーキを食べ終わった後、僕は足腰がまったく役に立たなくなっていた。責任を感じてか、おねだりすると、石田さんはベットまで連れて行ってくれた。いわゆるお姫様抱っこ。
サイドテーブルに置いてあった時計は、11時45分を指していた。
気が付けば、僕の誕生日は残り15分ほど。
「石田さんの所為であと少ししかない」
「悪かったって。保志くんの言う事なんでも聞くから」
「本当ですか!?」
本当はそれほど怒ってはいない。疲れているはずなのに、わざわざ僕のためにうちまで来てお祝いしてくれたのだから。
途中で黒い石田さんが光臨したのは、少し怖かったけれど。
「じゃあ……抱きしめてください」
「はいはい」
「来年もお祝いしてくださいね」
「もちろん」
「あ、でもさっきみたいのはもうなしで」
「……まあ、努力はする」
「ちょっと、食べ物粗末にしない!! てかあのいちご高いやつでしょ!?」
「あまいし、おいしいって聞いたから」
「……」
「分かった。もう食べ物では遊びません」
いつもとは逆のようなやり取りに、思わず吹き出した。
本当に反省したのか分からないけれど、しゅんとした石田さんの顔がたまらなく可愛く見える。よしよしと、触り心地のよい黒い髪を撫でると、もぞもぞと居心地の良い位置へ身体を預ける。
「仕方ないから許します」
「そう、ありがとう」
ぎゅうと抱きしめられて、自然と口唇が重なった。
「あ、もうすぐ30日が終わるね」
「そうです……って、あぁあああああああ!!」
「ちょ、いきなり何!?」
突然声をあげた僕に、石田さんは目を丸くする。わたわたと石田さんの腕の中から抜け出して、放りっぱなしだったカバンに手を突っ込んだ。
放置していたスマホのボタンを押すと、液晶画面が明るくなる。
「ファンの子、いっぱいお祝いメッセージくれてたんだった。仕事終わってから読んで、ツイートしようと思ってたのにぃ」
時計を見ると、僕の誕生日は残り三分ほど。
仕事の合間に読んではいたが、それ以上にツイートが来ている。これから僕宛のツイートを読んでも、当然間に合わない。嬉しい事に、すごい数のメッセージを貰っていた。
「……石田さんの所為だ」
「ちょっと、それも僕の所為!?」
ぷくりと頬を膨らませて、責任転嫁する。後回しにしていた自分の所為なのは、分かっている。後悔してももう遅い。
スマホを持ったまま、もぞもぞと元の位置へと戻った。
「これからツイートするんで、石田さんは邪魔しないで下さい」
「はいはい。わかりましたよー」
文章を考えて、文字を打っていく。書きたいことはいっぱいあるけれど、140字は意外と短い。
石田さんが画面を覗き込んでくるのが分かる。くるりと背を向けて、何を打つか考えようとすると、ぴたりと背中に張り付いてくる。
「邪魔しないで」
「このままでも打てるでしょ?」
「打ちにくいの! って、あーもう0時過ぎちゃう」
見られていると意識すると、打つスピードが遅くなる。やっと打ち終えて送信できたのは、本当に0時になるぎりぎりの時間だった。
「お疲れ様。保志くん」
「もっと良いこと書きたかったのに」
「なんで、保志くんらしくていいと思うよ」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
出会ってから、随分と時間が過ぎても、いまだに石田さんが隣にいてくれる。
改めてそう考えると、なんて贅沢な事だろうと、そう思う。
「……ありがとうございます」
「なにが?」
「今日も、一緒にいてくれて」
「なんだ、そんなことか。あたりまえでしょ?」
「石田さん。大好きです」
ありったけの思いを込めて抱きしめる。
一つまた年を重ねて、よりいっそう、あなたの事が好きになった。
来年も再来年も、できることならずっと、こうしてお祝いして欲しい。
顔を見上げて、口付ける。口唇を離そうとしたところを、もう一度塞がれた。啄ばむだけのキスが続く。
「俺もだよ。“いろいろ”充実させようね」
「……そんな意味で書いたんじゃなぁああい!?」
わざと強調したその意味にすぐには気付かず、反応が遅れた。
深夜に響いた声は、防音でなければ間違いなくフロア全体に広がっていただろう。
もう少し、もう少しだけお互い年相応に落ち着いてもいいんじゃないかと、柄にもなく考えてしまった。
End
保志クラスタの皆様。昨日一日お疲れ様でした。
昨夜は本当に、ツイッターがすごかった。たくさんの保志さんファンの方と知り合うことが出来ましたし、盛り上がりました。
保志さんっていうか、石☆で盛り上がってましたね。
そして、そして……最後の最後で、やってくださいました!!
0時ギリギリに待ちわびた、保志さんのツイートがぁああああ!?
保志クラスタ一斉に騒ぎ出して、テンションMAX。
しかもやっぱり可愛い顔文字で……
(≧υ≦)从(≧ω≦о)←誰かと一緒にいる!?→妄想大暴走!
そして一致する石☆妄想。皆さんシンクロ率高すぎる!!
これはもう、妄想を具現化するしかないだろうと!!
というわけで、皆様の具現化をわたくしは、全裸待機しております。
長々と、失礼しました。