7thB.V

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私を呼ぶ声がする。


遠く。

遠くの方で。


……な。


れ……な……



あの日。

すべてが始まった日と同じ。






ゆるゆるとしたまどろみの中、柔らかな布団は覚醒を鈍らせる。

もう少ししたら、きっとフレディかアーウィンが起こしに来る事は分かっていた。
だけど、この温かなぬくもりから出るのはどうして無理。


温かい。

どうしてこんなにも温かいぬくもりに包まれているのだろう。

冥使になった身体は、人間よりも体温が低いはずなのに。



今日は、いつも増して起きたくない。



遠くから、誰かの声がする。
きっと、起きてこない私を呼んでいる声だ。



隣のぬくもりに擦り寄る。

落ち着く。
心がとても落ち着く。


「ん……」



うっすらと、目を開けるとそこにはもう一人の私がいた。
身体を丸めて、安らかに眠っている私はとても気持ち良さそう。

何だか起こしたくない。


隣で身じろいだもう一人の私の頬が、手に当たった。
すぅすぅと気持ち良さそうに寝息を立てている。


すこし冷たい体温は、とても落ち着く。


夢の中で呼びかけていたのは、やっぱりあなただった。


どうしてこの子がいるのか分からないけど。


私と同じ顔をしているのに、とても可愛く見えるもう一人の私。


そっと頬に触れてみる。

今は閉じられている赤い目が開いたら、
今日はどんな日になるのだろう。



でも、今はもう少しこのまま。


一緒に眠りましょう。









フレディは、ばたんとレナの部屋を開けた。
女の子の部屋に無断で入るのは、最初抵抗あったのだが、寝坊癖のあるレナのお陰で抵抗なくなってしまった。
ずかずかと部屋に入り込んで、ベッドの上の塊を見てため息を付いた。

自分よりも年上のはずなのに、ちっとも年上らしくない。


「ねえちゃん、いい加減起き……」


ばさりと布団を捲ったところで、フレディは目を丸くした。

ぬくもりがなくなった為、レナは身体を丸めた。
しかし、レナは二人。

二人のレナは同じ仕草で丸まっていた。


「な、なんでぇえええええ!!?」


まるで、双子のように。

幸せそうに眠る二人。


「ちょ、ちょっと、なんでねえちゃんが二人!?」


とても愛らしい姿なのだが、今のフレディにとってはパニックの原因にしかならないのだった。


右側にいたレナが身じろぐ。
ころんと転がって、左側のレナへ引っ付いた。

幸せそうな笑顔。


フレディは、慌てて口を塞いだ。
なんだか起こしては可哀想なきがして。


「……かわいい」


年上なのに、まったく年上に見えない。
守ってあげたくなる。


もう少し、寝かせてあげてもいいかなと、
フレディは、柔らかな髪を撫でた。


「しかたないね。もう少しだけだよ」


ひんやりとした冥使の体温。
フレディの手が心地よかったのか、猫みたいに擦り寄ってきた。


笑みが零れる。


何故二人になってしまったのか分からないが、
それはレナが起きたら問いかけることにしよう。


「もしかしたら……」


ふいと、過ぎった考え。
本当だったら頭痛ものなのだが、それはまああとで考える事にしよう。



「ねぇ。早く起きて……」



かわいい、かわいいオレの央魔。


二人が目を覚ますのは、もう少し先……







その数分後。
さらに痺れを切らしたアーウィンが部屋の中に乗り込んできて、
レナを叩き起こすのだった。


「まったく、ホントにコレは使えないですね」

「ちょ、だって。あれは起こせないって。かわい過ぎる!!」

「……くだらない」


アーウィンの顔が普段よりも、ニヤけて見えたのは気の所為ではなさそうだ。



End



初フレディさんです。
フレレナっぽく……

レナって本当に可愛いですよねー

……レナの可愛らしさが出せるようになりたいです!!!



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