7thB.V

□スノゥ
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村に来て、初めての冬を迎える。




*スノゥ






今までレナが住んでいたところとは違って、山深いところにある村は冬の寒さが激しい。
ふわふわと雪が舞う。
木々や家々を白く染めるその雪を見ながら、レナは暖かい部屋の中にいた。
ぱちんと時々はぜる暖炉のそばでは、影が丸まって寝ている。オレンジ色でゆらゆらと揺れる炎が気に入ったらしい。毛布の上で丸まるその姿は、本当に猫のように見える。


「寒そうね」


央魔になってから、あまり温暖の差は感じなくなったけれど、雰囲気がそれを感じさせる。曇った窓に手を付くと、ぺたりと手の跡が付いた。地面は白くなって、ところどころに雪だるまが作られている。きっと、村の子供たちが作ったのだろう。小さいものから大きなものある。昼間に作られたその雪だるまには少し雪が積もっていた。


「そういえば、マシューが小さいの持ってきてくれたっけ」


身体が弱くて寝てばかりいた頃、当然、冬は体調を崩しやすくて、外で遊ぶ事はなかった。部屋の中から、降り積もった雪を見ていただけ。
そんなとき、学校帰りに小さな雪だるまを持って遊びに来てくれた。リズとマシューは、ベッドのそばに飾ってくれて、二人が帰った後もずっと眺めていた。もっとも、ちいさなそれはすぐに溶けてしまったけれど。


「かわいかったな」

「…れなぁ?」


むくりと起き上がった影は、眠そうに目を擦りながらぺたぺたとレナのそばへ来た。暖炉のそばにいた影は、その熱が移って普段よりもあたたかい。ぴったりと引っ付いてきた影は、同じように外を覗いた。


「……う?」

「そっか。あなたは雪、初めてよね」


いつもと違う景色に、影は不思議そうにしていた。空から降ってくる白い雪を、忙しなく赤い目が追っている。ずっとあの場所にいた影は、こうして外を見る事もなかった。レナよりも寂しい場所に、一人でずっと。


「ごめんね」


同じ色の髪を撫でると、影は嬉しそうに目を細めた。ぎゅっと抱きついてきた影を受け止める。


「雪ってね、とっても冷たいのよ」


影はこてんと首を傾げた。その様子がとても可愛くて、くすくすと笑う。
これか影に楽しい思い出をたくさん作ってあげよう。
冷たい雪の感触や、かわいい雪だるまも一緒に作って。
仕事ばっかりしているフレディの机のところに、こっそり置いてあげるのもいいかもしれない。
きっと影は雪の上で寝転がって、服を汚すだろう。アーウィンには怒られるかもしれないけれど、二人だったらそれもいいかもしれない。


「ねえ、明日は外で遊ぼうね」


影は、きゃあと喜んだ。
さあ、もうそろそろすると、きっとアーウィンがまだ寝てないと叱りにくる。
ベッドのシーツは少しひんやりしているけれど、二人で潜り込んだらそれも感じない。ころんと転がる影は、ぎゅうとレナに抱きついて、寝心地の良い場所を探している。


「おやすみ」

「あー、みぃ?」

「そう。寝るときは、おやすみね」

「…れな、あーぅ…みぃ、」


明日はまた、雪が降るのだろうか。
ふわふわの雪の上で、おもいっきり遊べるように少しだけやんでくれるといいな。

まどろむベッドの中は、とってもあたたかい。

外は少し寒いけれど、きっと明日は楽しいよ。




end



……視点が定まらないorz
そして書き途中で、幾らなんでも外ぐらいは影レナだって見るだろうと思ってしまったり……
創作ですので、そこは許してください。
アーウィンがだんだんお母さん化してきている……ドSなアーウィンも好きです←
しかし、影レナちゃんはいつになったら普通に話して良いんでしょう?
可愛いんで喋らせませんけどね←←←





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