7thB.V

□primavera
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灰色のローブに小さな虫が止まった。




*primavera





「コレはなんだい?」


首だけになって、ころころとしていたチェシャ猫は、不思議そうにしていた。小さな天道虫は、そのままローブを昇っていく。


「ああ、天道虫ね」


亜莉子の指に止まった天道虫が、上に向かって昇ってそして飛んだ。ローブに隠れて見えないけれど、チェシャ猫はそれを目で追ってにんまりと笑った。


「テントウムシ……」

「あ、そういえば公園に桜が咲いたらしいわ」

「サクラ?」

「うん。ピンク色でね、すっごくきれいよ」


ころころと転がったチェシャ猫が、亜莉子の膝の上に乗った。見上げたにんまり顔に、亜莉子は笑う。首のあたりを撫でると、ごろごろと音がした。


「それはいいね」

「お弁当、持って行こうか」


近づいてきたチェシャ猫のからだが頭を持ち上げた。ぴたりとからだがくっ付いてくる。頭は面白くなさそうに、手からぽんと跳ねた。


「からだも行きたいそうだよ」

「あら、もちろん一緒にね」


ころころ転がった頭を捕まえて、からだに乗せる。すこし嫌そうにからだは頭を乗せた。灰色のローブに身体を預けると、ふわりと春の匂い。


「あ、いい匂い」

「イイニオイ?」

「お日様のにおいかな?」


ひだまりの中を歩いてきたみたい。チェシャ猫は、くんくんと自分の匂いを嗅いで首を傾げた。目を瞑ったら、くるんと身体が傾く。見下ろしたにんまり顔は、不思議そうにしていた。


「オヒサマにニオイはないよ?」

「……もう。チェシャ猫って、妙なところで屁理屈ね」

「ヘリクツはキライかい?」


灰色のローブに顔を埋める。けものの匂いと太陽の匂い。


「嫌いじゃないわ」


いつも亜莉子がするように、チェシャ猫は亜莉子の髪を撫でた。その手はとても気持ちよくて、もっと撫でて欲しくなる。


「アリス」

「なに?」

「あれもハルかい?」

「え?」


チェシャ猫の指すほうを見ると、なにかが猛スピードで通り過ぎていくところだった。
なにか、白くてヒラヒラとしたものが見えた気がする。


「えーっと……よく見えなかったわ」

「そうかい?」


見えていた気もするが、なんだか脳が見えるのを拒否したようだった。

折角の雰囲気が台無しになって、でも、なんだかそれも日常。


「女王さまや、ビルも誘って、お花見に行こうね」


満開の桜の下、みんなでお弁当。

はらはらと舞う、ピンクの花弁。

きっと、とっても楽しいよね。



End



気分は春なのです。
初、歪アリ。初、猫アリ?
春は、初めての季節ですよねー←←←


……これ、奉げていいレベルのものなのだろうかι
シルバラさん、ありですか?
相変わらずの、雰囲気重視の文章……これでもいいなら持って行くがよい!!
あ、嘘です。
貰ってください。シルバラさんに捧げます(返品可)。

Primavera=春(イタリア語)















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