7thB.V
□Sabao
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「オフロ?」
不思議そうに首を傾げた影に、レナはにこりと笑った。
*Sabao
ヒドイ悪夢で――こう言ったら、彼が可哀想だけど、寝汗でびっしょりになったパジャマが少し気持ち悪い。心配そうな赤い目に、レナはよしよしと自分と同じ蜂蜜色の髪を撫でた。
「れなぁ?」
「うん、もう大丈夫だよ、ありがとね。 ……そうだ、汗かいちゃったから、お風呂入ろうか!!」
そういえば、お風呂に入るのは初めてだったかもしれない。
アーウィンに言わせれば、人間とは身体のつくりが違うのだから、冥使にはあまり関係ないらしい。だけれども、お風呂が大好きなレナは、前と変わらず毎日入ることのほうが多かった。
少しぬるめのお風呂は、とても気持ちよくてついうたた寝をしたくなってしまう。きっと、影も気に入ってくれるだろうと、ワクワクしながらひんやりした手を握った。
「さあ、服を脱いで」
「れなぁ……ナゼ?」
「だって、脱がないと身体が洗えないじゃない」
「……ソウ」
レナの言葉に素直に従った影は、するっと服を脱いでくれた。お風呂場に入ると、温かい湯気に包まれる。もわもわとした熱気と、白くなる視界に赤い目がまん丸になった。
「れな、れなぁ!! コレ、ナニ? ナニ!?」
「あ、ダメ飛び跳ねちゃ!! すべって危ないんだから」
小さい子みたいにはしゃぐ姿に、レナはクスクスと笑う。バスタブに少しだけお湯を張る。お湯が溜まっていくのが面白いのか、影はじっと流れる水を見ていた。
「飲んじゃダメだからね」
「うぅ……」
にょろんと伸びようとしていた赤い舌に、レナはにこりと笑う。赤い舌が面白くなさそうに、口の中にしまわれた。
「さあ、入ろっか」
「うー……」
影は、びくびくしながらバスタブの中に入る。そろりと足をつけた。ぬるめにしたお湯の感触に、こてんと首を傾げる。
影を囲むように、水面に波紋ができた。赤い目がそれを不思議そうに追う。白い指先が波紋の先に触れると、ぴしゃりと跳ねたお湯が顔に当たる。影は、ぎゅっと目をつぶった。
レナはクスクスと笑って、シャワーの温度を確かめる。
「じゃあ、そのまま目を閉じててね」
「うー、れ……みぎゃぁああああああ!!!」
「わ、きゃぁああ!!」
タイミングよく顔を上げた影の顔に、シャワーが掛かる。突然のことにびっくりして、わっとレナに飛びついてきた。レナの手からシャワーが離れて、水の力でノズルがヘビのように踊り出す。それにさらに驚いて、影はばしゃばしゃと暴れた。
「ヤッ、やぁ!!」
「お、落ち着いてぇ!! ごめん、ごめんね!?」
「うぅ、れなぁ……」
よしよしと影の背中を撫でる。ひくひくと泣きべそ顔の影が、レナの顔についた水滴を舐め取った。くすぐったくて身を捩る。とんと壁にレナの腕が当たった。天井から水滴が落ちてきて、影の鼻の頭にぴちゃんと落ちた。ぎゅっと目を閉じるのをみて、レナは笑った。
「うぅ、れなぁ…ワラウ、ナゼぇ……」
「ご、ごめん!! あまりにも、かわいくて」
「カワイイ、れな!!」
ぷくうと膨れた影が、抱きついてくる。ひんやりとした肌だった。お湯の中にいるのに、同じ温度の二人。どれだけ同じようにしていても、彼とは違う温度。
突然黙ってしまったレナに、影の心配そうな顔が覗く。
「なんでもないよ」
「れなぁ……」
「ねえ。それより、あわあわにしちゃおっか!!」
レナはバスタブの中に、泡の出る入浴剤を入れた。シャワーでふわふわ泡が広がって、バニラの香りが漂う。甘いその香りを、ふんふんと影は嗅いだ。
「コレ、アイス…見タイ……デモ、冷タク…ナイ?」
「きゃぁああ、舐めちゃダメぇえええ!!」
レナの声に赤い舌が止まるが、泡の所為でつるんと傾いた身体にぱしゃりと泡が跳ねる。
きゃははと、影が笑った。泡だらけになったレナが、ぷくりと頬を膨らませる。
「アワアワ、れな!!」
「うぅ……」
「楽シイ!! れなぁ、楽シイ、ネ!!」
ふわふわと、まん丸のシャボン玉が飛んだ。
「アレ、ナニ?」と影が尋ねる。
いろんな色に、キラキラと赤い目が輝く。つんと、突くとぱちんとシャボン玉は割れた。
しゅんとなった影に、レナはふうとシャボン玉を作る。
二つ並んだシャボン玉が、ふわふわと舞った。
end
こんなんになりましたが、いかがでしょうか?
シルバラさんに、脅さrゲフン、ゴフン……シルバラさんに頂いた小説の続きを書いてみました!!
影ちゃんを喋らせるのは、初めてなので戸惑ったんですが新鮮……
そして、久々の7BVなってしまった所為なのか、どう書いたらいいのか分からなかった……文章が迷走しているのはその所為です←←