7thB.V
□ヨウマリ的なあれ
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*ヨウマリ的なアレ(迷鬼)
夏休みも残り十日程を残すところとなった頃、俺の携帯に一通のメールが届いた。
差出人は遠島マリカ。その内容はと言うと──
「香住! 宿題が終わらないんだ! なんとかしてくれ!」
……そんな訳で俺の家に集まって、遠島の宿題を終わらせる手伝いをする事になった。まあ、俺もあと少しだけ終わっていないところがあったので、それを一気に終わらせるにはちょうど良いかなと安易に考えた訳だ。
そして翌日。俺の家の居間には、ダイニングテーブルに向かい合う形で座る、俺と遠島の姿があった。
今日は、たまたまうちの家族は全員出掛けていて誰もいない。俺と遠島の二人きりだ。
正直言って遠島は可愛い。スタイルもなかなかのものだ。隣のクラスでも結構人気があって、そんな彼女と親しい(と周りには思われている)俺のところに「どうやって遠島さんと仲良くなったんだよ〜」とか「なあ、俺の事も紹介してくれよ」なんて依頼もたまにくる程だ。
ひとつ屋根の下でそんな彼女と俺で二人きり。まさか家に誰もいないなどと思っていなかった俺は、ほんの少しだけ遠島を意識して緊張していたのだが……そんな俺の考えは杞憂に終わった。
「香住! お菓子持ってきたぞ! 食べながら宿題やろう!」
「香住〜、のどが乾いたぞ。なんか飲み物ないのか?」
「なあ、香住。アイスとかないのか? バニラのやつ!」
「お、香住! うまそうなスイカがあるぞ! スイカ割りしよう!」
……とまあ、こんな感じで落ち着きがないことこの上ない。大体なんで、宿題やりに人のうちまで来て、スイカ割りしようとか思いつくんだ……。
「なあ遠島? お前宿題やる気あるのか?」
半ば呆れ顔で尋ねると遠島は清々しいまでの笑顔で、
「うん! あまりない! だって宿題、全然わからないんだ! 香住ならなんとかしてくれると思ってな!」
えへんと胸を張って言い放った。要するに丸投げだ。……おいおい。
「威張って言うことかよ……良いのかそれで……」
「大丈夫だ! 香住はイイヤツだからな! きっと今回もなんとかしてくれる!」
満面の笑みを浮かべて俺を見つめる遠島を見やり、小さくため息を吐く。
とはいえ俺はこの笑顔に弱い。
満開のひまわりみたいな笑顔。
……いつもこの笑顔で誤魔化されてる気がしなくもないのだが、この顔を向けられると、まあ良いかとも思えるから不思議だ。
やれやれと思いながらも、わからないところとやらを見て教えてやる。
「おお、さすが香住だ! すごいな! ついでにこっちもやってくれ!」
「だーめ。解き方は今教えただろ? 続きは自力で頑張れ」
「ええ〜」
「とりあえず今日はここまでやろう。そんな顔すんなよ。ほら、終わったら帰りにかき氷おごってやるから」
「本当かっ!? よし! なら頑張るぞ!」
……全く現金なヤツだ。
しかし、それは実に効果的だったようで思っていたよりもかなり早いペースで、目標のところまで宿題が進んだ。
これなら意外とすんなり終わるかもなーと考えていて、それは実際にその通りになったのだが……その後、遠島のやる気を出すために毎日何かをおごる羽目になり、宿題が終わった時には、俺の財布の中身は殆ど無くなってしまっていた。
食べ物以外であいつのやる気を出す方法を真剣に考えないといけないと思い立ったのは、まさにこの時からだった。
END
後書き
ええと、当サイトと相互リンクをしている「ソラノネ」の柚那さんが本日8月21日がお誕生日と言うことで「ヨウマリの文をなんか書いてー」とお願いされて適当に(←おい)書いたのがこちらになります。
迷ヒ家ノ鬼は久々に書きましたね……ヨウマリってこんな感じで良いんだろうか……←
とりあえず、夏の終わりの慣例行事をテーマに書いてみましたがベタ過ぎましたかね?
まあ、香住はあんな感じでマリカ様に振り回されてれば良いなと思う訳でww←
ではでは改めて、柚那さんお誕生日おめでとうございますー\(^o^)/