FF7CC −TEARS OF THE PHONIX

□捕らえて、囚われて
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『捕らえて、囚われて』




「なぜあんな無茶をした?」


腕を組み、アンジールがいつもの説教をする顔で紅埜の顔を見る。



紅埜はアンジールの幼なじみで、タークスに所属し、
武器である拳銃の腕前もよく、デスクワークだけでなく戦闘員としても活躍している。
肩までの漆黒の髪がよく似合っていた。



そんな彼女が今は痛々しく肩に包帯を巻き、腕をつった状態で今は自室のベッドの上で上半身だけ起こしている。
なぜそうなったのかは昨日にさかのぼる。










昨日はソルジャーとタークスが組み、アバランチの基地に利用されたとある施設に潜入し、機密情報を探り出してから爆破させる任務であった。

紅埜は予定通り機密情報を得ることに成功し、アンジールが爆弾をセットするまでは良かったのだが、運悪く脱出途中でアバランチ兵に見つかってしまったのだった。


【紅埜、大丈夫か!?】


彼女がたった一人で応戦している渡り廊下にアンジールが駆け込んでくる。


【大丈夫に決まってるじゃない。第一、来てくれなんて頼んでないし】


あせった風のアンジールに紅埜は冷静に言い放つ。

あれくらい自分一人で切り抜けられる。
そう言って彼女はさっきまでいた物陰から敵の前に飛び出していった。



彼女の得手は『早撃ち』。両手に握られた拳銃からは止めどなく弾丸が放たれて、相手の急所に吸い込まれていく。


ものの数分でその場に立っているのは紅埜とアンジールのみになってしまった。


【ね、言ったでしょ。助けはいらない】


後ろを振り返って出番もなく、立ち惚けていたアンジールに言う。
その時だった。


≪ダァァーン≫

【紅埜!!】


一瞬何が起こったのか分からなかった。
体に鈍い衝撃が走り、前のめりに倒れていく。左肩が熱い。

床に倒れると思われた時、温かい腕に抱き留められた。それでやっと自分は打たれたんだと理解した。

意識の薄れる中、覚えているのは暖かく力強い腕とアンジールの泣きそうな顔だった。






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