夢小説
□重めの昼食
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松田ハイツに越してきてもう3カ月。
駅まで歩いて5分、風呂がないのはかなり不便だけど…家賃が安いし。とにかく、一般企業の派遣OLの給料は安い。切り詰める所は切り詰めないとね。
初めは周りの部屋の人が怖そうな人だったらどうしよう…と内心ドキドキだったんだけど、引っ越しの挨拶に行った隣の2人組(?)さんはすごく良い人達だったので安心した。
生活圏が一緒だと、=アパートは勿論町でも年中顔を合わせる訳だから、自然と交流が生まれて。で、他愛ない話をしながらそのまま一緒に買物しちゃったりとかして。あと、荷物持って部屋に運んでくれたり、とか。
…特に、ブッダさん。
「…優しいんだよね。」
『え?何?野菜が何?』
目線はまな板に向けながら、彼が寝惚けた声で聞き返す。
ぽんやり、つらつら考え事してたら思わず声が出てた。
ここは、そのお隣の部屋。今日はイエスさんが秋葉原へノーパソを物色しに出掛けて朝から留守。
日曜日で特に用事も無くって、ブッダさんに昼食を誘われて、ちゃっかり気軽にお邪魔している。
(そういや、2人きりなんだよ。部屋が隣だとあんまり近くて…何か自分ちみたいに気軽に上がっちゃったんだけど。)
「あ、独り言。…ていうか、ブッダさん!ほんと私も何か手伝うのに。」
慌てて腕捲りをしながら、昼食の準備をするブッダさんの横へ立つ。
(ほんとほんと。何か手伝わなきゃ。)
『え?あっ、大丈夫ですよ。気にしないで座っていて良いのに…と、良いんですよ。と。』
(あ、また。)
ちょっとバツが悪そうにお互い半笑いで目を合わせる。
『「あの」』
…更に同時に話しかけるっていう。完璧被った。
「あ…と、ブッダさん、無理して敬語使わなくて良いよ。ほんとに。普通にタメ口で。ねっ?そうして?」
彼が遠慮がちにニコリと笑う。ちょっとした緊張が伝わってくるんだけど…。
(あ、やばい…?馴れ馴れしいみたいな感じ?)
何て返答されるのか、ちょっと緊張しながら半笑いで取り繕う。
『そう、ですか?…あ、違う。』
目線を一瞬斜め下に向けて、コホという咳払い。
『…そうかな?な、何か私、馴れ馴れしくない?名無しさんが迷惑じゃなければ、私もこっちの方が楽なんだけどね。』
ギクシャク照れて話す彼は何だか可愛い。