歌パロ短編

□ローリンガール
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「…」

孤独な少女は、いつもいつも回る。
理由があるのかわからずに。
無音を纏い、ただただ回る。

頭を掻き回して掻き回して。
もうすべてを忘れるために。

痛々しい傷跡は、自分がすべてつけたもの。坂道や、道路を頃がって。

「…ねぇ、大丈夫?」

少女の目の前に一人の少年が手を差し出す。少年は優しげな瞳で少女をみた。

「傷だらけ…ねぇ、大丈夫?家は?」

なにこの人。
…私のなにがわかるの?

「…ねぇってば。きいてる?」

「問題ないから」

私はそうつぶやいて、男の子から離れた。男の子は私を追いかけようとしてたみたいだけど。
ひたすら転がれば、なにか道は見える。

絶対に。

あんな失敗は二度と繰り返さない。

「…」

ひたすら坂道を転がる。

「痛」くなんてない。
だって私が望んでるんだもん。

…はず、な、のに。

「…」

痛い…?
傷じゃない。なにか、痛い。
…これを消滅させるには…やっぱり転がるしかないわよね。

少女は息を吸い込みまた転がる。
転がる。

「私は…今日も転がります」

少女はそう言います。
言葉に、無表情の笑いを重ねながら転がる転がる。
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