慈狂の花束
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「四季先輩!」
「舞原」
ニコッと大和の目の前に小柄な少年がやってくる。放課後、演劇部の裏方として手伝っている大和は演劇部員と仲がよかった。雑用係と聞くと一発で大和の名前が出てくるのだ。その中でも大和と仲がいい一人が一つ年下の舞原彰(マイハラアキラ)。
「今回もスミマセン、演劇部手伝ってもらってしまって」
「俺暇だから。どちらかというと意外と楽しいし」
「ははっ。じゃあ演劇部来てくださいよ」
演劇部だけはごめん、と大和は固く彰に言った。大和はかつて幼稚園のときに演劇をやりあがりすぎてしまい舌がまわらなかった思い出があるのだ。それからというもの、唄音には
「あんた演劇部は向いてないよ」
といわれ。優奈には。
「大和は帰宅部ね。うん」
と。
なんとも残念な返答だったのである…。
大和が苦笑いしながら彰に答えを返す。すると。
「あ、大和!危ないっ!」
目の前から先輩である人物の声が聞こえた。大和がふと頭をあげると、大和にむかって小道具である道具がバラバラと落ちてくる。しかもその道具のほとんどは金属製。重めのものばかりだ。