慈狂の花束

□10
1ページ/5ページ



「きゃああああ!」

「通り魔だ!通り魔が出たぞ!」

「うあああっ!」

―通り魔―
この街で今1番危ない事件の人物また事件のこと。
その通り魔が、いきなり活動を活発にさせた。無作為に老若男女関係なく。

夕闇に紛れる白い肌を持つことから、通り魔は「白き悪魔」なんていう通り名をつけられた。

「ったくさぁ…馬鹿げてる」

通り魔は目の前の幼い少女を優しく抱きしめる。少女は恐怖を宿した瞳で通り魔を見つめた。

「大丈夫、君は悪くないから…早くお逃げ。」

「なんで…―――お兄ちゃん!」

「…僕は君を知らない。」

「お兄ちゃん!ねぇ…!」

「…早く逃げて。早く。僕が君を殺めるまえに」

「あやめる…?」

少女は通り魔を不思議な目で覗きこむ。
少女は通り魔を知っていた。知り合いだった。通り魔の正体を知っていた。
通り魔の正体。
大好きな、大好きな…

彰お兄ちゃん
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ