慈狂の花束

□11.5
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「うしっ、忍び込み完了ー!」

「ハイテンションすぎ。」

羅音と麻都は彰のいる病院にきていた。
…きていたというよりは侵入した、のほうがいいかもしれない。
二人が彰の病室にくるまで特に時間はかからなかった。
ただ麻都の力でナースやら医者やらを薙ぎ倒していっただけのこと。
それを羅音は笑いながら見ている。

「あははっ。麻都のおかげだからねっ」

「…通り魔は舞原彰。…ここね」

麻都は羅音を無視して病室に躊躇いなく入る。

「見つけた…」

彼は、上半身を起こして静かに窓から外をみていた。
まだ中1。羅音たちより一つ下。
なのに…

「…あなたが、通り魔?」

「!?」

彰は羅音たちのほうに振り向き、怯えた目をむけた。

「あははは、最高ぉ。その目。」

「羅音。黙らっしゃい」

「だ…れ…?」

彰は、羅音に目をむけた。
羅音と麻都は似ているのに、雰囲気は全く違う気がした。
麻都はクール、羅音は馬鹿だけど恐い。
そんな雰囲気があった。

そして、彰は話せた。
梨本の方が、勝手に話せないと話をつくった。真実は、彰と梨本と、二人だけが知っていた。

麻都は彰に微笑み言う。

「はじめまして。彰。私は蘭堂麻都。そしてこいつは」

「千歳羅音ですっ!ま、よろしく?」

羅音は彰に手を差し出す。
彰も羅音の手をとろうとした―――瞬間。
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