慈狂の花束

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「あれ?優奈今日お弁当じゃないの?」

クラスメイトの美愛(ミア)がお弁当を片手に椅子に座り席を立っていた優奈に話しかける。

「うん、今日は食堂。すぐ戻るよ」

「おっけー!先に食べちゃうよ?」

「美愛、私が肉あげたときの約束。卵焼きプリーズ」

優奈はフォークを加える美愛を手招きして、真面目な顔で手を差し出していた。

「あー忘れてた。すっかり忘れていたかった」

「うるさい!卵焼き!」

優奈は美愛から卵焼きを奪取すると食堂に向かって走っていた。
黄燐学院の造りは一階が中学一年、高校一年、二階が中学二年、高校二年、三階が中学三年、高校三年。

食堂は一階の長い廊下を歩いたところにある。

優奈が曲がり角を曲がろうとした瞬間。

「あ」

「ん?」

優奈の目の前に、優しげな高校生が出てきた。優しげな高校生…夏樹。
そして衝突。

「いっ」

「あ、ごめんね、大丈夫?!」

優奈が思わず声をあげると、夏樹は手を差し出す。
優奈は手をとれず、自分で立ち上がる。
すると。

「(イケメン!え、なにこの人!) 」

優奈から見た夏樹はかなりのイケメンだった。というよりか女性から見れば夏樹はイケメンの部類にはいるのだろう。
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