慈狂の花束
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「ひっぐ…ふぇっ、」
…お前…は…
「カグラ…か?」
漆黒の髪に赤い瞳の少年。
それはまさしくもカグラに違いはなかった。俺は幾度となくカグラのでてくる夢をみてきた。
しかし、こんな悲しそうなカグラははじめてだ。カグラ、なにがあった?
「カグラ―…」
「…みんなみんな、やっぱボクを嫌うんだ。…ひっぐ……もう…いや…」
ガタン。
カグラがカッターを手首に置いた。
カグラの白い肌に、銀の刃物がはいった。
「「っー!!」」
痛みはカグラに届く。
そしてなぜか俺にも届いた。
「痛っ…なん…で俺にも!?」
「やっぱり大和だったんだ」
「カグラ…」
俺の目の前に、手首から血をながすカグラが現れる。
夢だろ?
夢なのに、なんでこんな現実味があるんだよ。意味わからない。
「カグラ、お前…」
「…大和、ボクは君が大嫌いだ」
「いきなりどうした?嫌いなのは俺も同じだが…」
俺を拒絶するカグラなんて久しぶりにみた。久しぶり?いやはじめてか。
そしてカグラは、
「君は、君自身を理解していない。…自分の意思で動けない」