慈狂の花束

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ー四年前ー

「っ…」

また…だ。
父さん、絶対機嫌悪い。
やだなぁ…。死んだほうがマシだったりすんのかしら

唄音は自虐的な笑みを皮肉にも浮かばせながらリビングの前に近づいていく。
…すると。

「あれ?姉ちゃん」

「大和」

大和だった。大和は小学五年生。まだまだ無邪気な年頃。私と三歳離れてるだけでも大和は私に優しかったし、私も大和に優しく接していた(ただしプリンを巡る喧嘩やらネットを巡る喧嘩やらエトセトラをぬかす)。

「どしたの?」

「父さんに用事。…あんたは上にいきなさい」

私が大和にそういうと大和は首を傾げる仕種をしながらも上の自室に入っていった。

大和は、私が唯一心を許せる相手であり―同時に私が1番憎い存在でもあったのかもしれない。

私は小さな頃から…いわば虐待とやらを受けていた。主なこととしては監禁、暴力など。
酷いときは棄てられた。その時は、たまたま通り掛かった大和が助けてくれたんだけど。

…以上のことから。
私は心から信頼できる人なんてこの世にいなかった。

…<愛>。

それは、なんですか?





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