慈狂の花束
□03
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「…ここは…」
大和は夢の中にいた。
浮いている感覚。生きてる感じがしない。下をみると、そこには懐かしい顔があった…。
「…父さん…母さん?」
唄音からは事故で死んだと聞かされた。…でも…それは…。
近くにはナイフをもった少年。その後ろには痩せこけた少女の姿。
少年の顔と少女の顔は見えない。
「…まさか、あいつが」
少年をしばらくみていると、少年は父親に向かいナイフを突き刺した。
悲鳴があがる。悲鳴の先は母親。母親にも少年はナイフを刺した。
「…んな…馬鹿な」
唄音は嘘をついていたのか?
こんな大事なことを?
「違う…違う違う違う!」
必死に否定する大和。
「たかが…たかが夢だ!落ち着け、落ち着くんだ俺!」
次の瞬間。
今朝にみた、「紅い光景」が蘇る。
少年は笑い、紅い中で黒髪と紅い瞳が映えていた。そして、後ろにいた少女を抱きしめる。
「……まさか…唄音?」
髪は今より長めだが、何と無く少女は唄音に似ていた。少年に抱きしめられるも少年は唄音になにもしない。
「…あいつが…」
すると。
《はじめまして、大和》
「?!」