慈狂の花束
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「違、うさぎってかこうとしたんだよ!」
「いいから別に。誰にもいわないし」
「…うさ中毒ですすみません」
「いやあやまらなくていいし」
四季姉弟がお互い、ニコニコ動画中毒者であることがわかった夕飯の1ページだった。
「冬樹」
夕日が僅かに映えはじめたとき。
夏樹は黄燐学院からかなり離れた病院にいた。鏡の存在、冬樹に会うため。
病室にいく途中冬樹と間違えられることがあったが慣れっこだったため対したことはなかった。
「まだ目覚めないの?」
冬樹の髪を撫でる。
「あの時、僕が…」
鎖を外さなければ僕が冬樹のようになっていたのに。
何故冬樹が。なんで…。
「…冬樹。ごめんなさい。」
夏樹はそれしかできなかった。
夏樹は弱い人間。人間中の人間といっていいかもしれない。脆弱で脆く、一人で人間は立てない。傷んだ果実さえ、一人で捨てられないような。
「僕は、君がいないと生きていけない。だから助けて冬樹。目を…覚まして」