Hello 第2章 

□再会
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僕は必死に走っていた。



『はぁ・・・ はぁ・・・』



苦しい息の中で訳も分からず
ただ気持ちが焦る。



遠くに小さな人影が見えると
不意に足を止めて目を凝らした。



何故、止まったのか自分でも分からなくて
ただ遠くの人影に意識を集中させる。



一瞬、人影が揺らめいたと思ったら
少しずつこちらに近づいて来てるみたい。



つられて僕もゆっくり一歩を踏み出す。



人影が段々大きくなるにつれて
ぼやけていた輪郭が形を成す。



心臓の鼓動が早くなって
胸の辺りを無意識に手で掴んだ。



急に風が吹いて人影の髪がなびくと
手で押える仕草に胸騒ぎがした。



あの仕草は。。。



胸騒ぎが確信へと変わる。



その人物の顔は何故かぼやけて見えないけど
あのシルエットを僕が見間違う筈はない。



『名無しさんヌナー!!』



声の限りに叫ぶとその人影は
足を止めてこちらを見ているみたい。



やっぱり名無しさんヌナだ!!
僕には分かる。。。



そう思った途端
不意に現れた男の人が
名無しさんヌナの手を掴んで
遠ざかろうとする。



『待って、行かないでっ!!』



僕はまた必死に走って追いかけるけど
何故か距離が縮まらない。



それどころか段々と遠ざかって
しまいには見えなくなってしまった。



『お願い…行かないで…』



もうこれ以上走れなくて
その場に膝から崩れ落ちた。



どうして。。。どうして行っちゃうの。。。



俯く僕の肩に誰かの手が触れた。



「…ヒョン、オニュヒョン」
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