DREAM 恋海 シン
□女の闘い
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キィィィン!!
剣と剣がぶつかり合う。
「ッ…ファジー。」
「今日こそは決着つけてやるからね!」
剣で押し返し、ジュンとファジーは距離をとって睨み合った。
「リカー海賊団もいい加減諦めろよ!」
「アタイはシン様を諦めるつもりはないね!そんなに諦めて欲しけりゃあんたがこの船を降りな!」
ファジーの振りかざした剣をするりと交わし、1つの小さな玉をファジーに向かって投げつける。
するとその玉は小さな爆発を起こし、煙幕でファジーを覆った。
「ったく…なんであたしがシンさんのために船降りなきゃなんないわけ」
ぶつくさ言いながら、煙幕で覆われぎゃーぎゃーわめくファジーに見つからないようにジュンはタルに隠れにいく。
するとそこには先着がしゃがみこんでいた。
いいものを見つけたとジュンはにやりと笑う。
「…こんな所に隠れて、、臆病者さん?」
耳元で囁きながら、首にナイフを突き立てるとそいつはぎょっとこちらを向いた。
「ジュンっ!会いたかったぞ!」
そんな事を言いながらいそいそとナイフから逃れようとするのはリカーの船長。
「ロイ船長。観念してください」
ジュンはにっこり微笑むとロイ船長の首にナイフを突き立てたままタルの影からロイ船長を引きずり、出ていく。
「そこまでだ!」
ジュンが声をあげると甲板で争っていたシリウス海賊団もリカー海賊団も動きを止めてこちらを見た。
「ろっロイ様ーっ!!お前!ジュン許さないよ!!」
ファジーは怒りのあまり地団駄を踏んでいる。
「お前等の船長を殺されたくなければ、撤退しろ」
ナイフを持つ手に力を込めるとロイ船長が慌てたように撤退を促す。
リカー海賊団はジュンを睨みながら撤退にかかった。
やれやれとした様子でシリウス海賊団はジュンに良くやったと親指を立てた。
トムとコリン、それに続いてロイ船長がリカーの海賊船に戻っていく。
最後のファジーがジュンの胸ぐらを掴みにかかった。
「卑怯な奴だね!今度正々堂々とアタイと勝負しな!それまではシン様に手を出すんじゃないよ!」
「だから、あたしはシンさんの女じゃな…―」
言い終わる前に、ジュンの胸ぐらを掴み睨み付けるファジーの手をシンが振り払った。
「ファジー。その必要はない」
ジュンとファジーの間に割って入って、そう言ったシンは不適な笑みを浮かべるとジュンの方へ振り返った。
ファジーに背を向ける形になったシンさんは不適な笑みを浮かべたまま私に近づく。
そして、その笑みに恐怖すら覚えたジュンにシンはファジーに聞こえるように甘く囁いた。
「ジュン愛してる。お前だけだ」
そして、顎をくいっと持ち上げると唇を重ねた。
目を見開き、唇を離そうとジュンはシンの肩を強く押し離そうとするが力が到底敵わない。
そんなシンとジュンの色気の無いキスシーンもファジーには、シンからジュンにキスしたという事実しか見えてないよう。
青ざめたファジーは泣きわめきながらリカーに飛び帰った。
そのままシンはジュンに舌を侵入させていく。
「んっ」
力が抜けていき、肩を押し返す手にも力が入らなくなる。
シンに舌を絡め取られ、口内を犯されていくうちにジュンから甘い吐息が漏れ出す。
シンはそんなジュンの様子を楽しんでいるよう。
しかし、そんな様子を楽しんでいるのはシンだけだった。
「すぅぅとぉぉっぷぅぅぅ!!!」
と、制裁が入ったと共に鈍い音が響き、ジュンがやっと唇を解放され目を開けると目の前でシンが頭を抱えている。
「…ッ。」
床にはフライパンと木刀が転がっている。
「はわわ、ハヤテさん僕の木刀…」
トワが慌ててハヤテに投げられたのであろう自分の木刀を拾いに行く。
木刀を拾いに来たトワを見て、シンは恐る恐る後ろを振り返った。
「シン、今日は晩飯抜きだ。」
「!?」
「…お前には今日から1週間見張り番を命ずる。」
「船長!?」
「おやおや、シン、頭怪我したんじゃない?ゆっくーり診察してあげるよ」
「!!」
皆の不自然な笑みを見て慌てて頭を覆うシンを見てジュンはくすくすと笑った。