DREAM 恋海 シン
□sweets
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「わぁ!すごーい!」
ジュンが食卓でトワと騒いでいる。
バレンタイン王国を救ったお礼に貰ったチョコレートの山を見ているようだ。
「今日はこれが3時のおやつだ。」
ナギがお皿にたっぷりの生クリームと大きなワンホールのチョコレートケーキを持ってくる。
トワとジュンは目を輝かせて慌てて席についた。
「いっただっきまーす!」
皆で手を合わせる。
「うっめぇ!さすがナギ兄!!」
「うん、凄く美味しいね。」
「生クリームの甘さもほどよいです!!」
「わぁぁ!こんな美味しいケーキ初めて!」
皆口々に感想を述べる。
お皿に乗った各々のケーキが姿を消していく。
そんな中、誰よりも黙々とケーキを口に運ぶ男がいた。
大きなホールのケーキも山盛りに皿に盛られた生クリームもどんどん無くなっていく。
「もっらいー♪」
最後の一切れをかっさらおうとしたハヤテのフォークが空を切った。
一瞬早く、シンのフォークがケーキをかすめとる。
そしてハヤテに文句を言われる前に口に押し込む。そんなシンの姿はまるで子供のよう。
「あーっ!!シンてめぇ!」
「上手かった。」
静かに手を合わせると、ハヤテは相手せずに立ち上がりシンは航海室に戻る。
ジュンも手を合わせると急いで航海室に向かった。
「…どうした?」
ひょっこり顔を出すジュンを見ずにシンは問いかける。
「大した用じゃないよ。」
ジュンは海図とにらめっこするシンの横に座ると、シンの横顔を見つめた。
「シンさん。」
「なんだ?」
「あと何日で神秘の島に着くの?」
「そうだな、後2日もあれば着くだろう」
「シンさん。」
「なん―…」
シンの唇のすぐ横を生暖かい感触が触れる。
それはシンの口元を一舐めすると、ちゅっと音をたててゆっくりと離れた。
離れたと同時にシンがジュンの腕を掴む。
「…欲求不満なのか?」
「シンさんの口元におやつ付いてたから」
にっこりとジュンが笑う。
シンはジュンの笑顔を見ると何も言えなくなり、シンはジュンの腕を離すと、また海図に目を向けた。
「シンさん。」
「なんだ。」
「甘いもの好き?」
「あぁ」
「シンさん。」
「なんだ」
「キスしてもいい?」
「あぁ…ぁあ!?」
「うーそ。」
驚いて海図から顔を上げたシンに、ジュンはそっぽを向く。
猫のような女だな…
シンは不服そうにまた海図に目を落とす。
「シンさん。」
「…」
「ねぇ、シンさん。」
「…」
「シンさんったら」
目も向けず無言を決め込むシン。
すると、シンの頬に冷たい手が優しく触れた。
「海図なんかより、私だけを見て?」
ゆっくり、今度はシンの唇にジュンの指が触れる。
瞳はどこか切なそうにシンを映している。
…どうやらこいつには敵いそうにない。
シンは海図をたたむとジュンを抱き抱えベットに運んだ。