DREAM 恋海 シン

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「わぁ!すごーい!」



ジュンが食卓でトワと騒いでいる。




バレンタイン王国を救ったお礼に貰ったチョコレートの山を見ているようだ。






「今日はこれが3時のおやつだ。」




ナギがお皿にたっぷりの生クリームと大きなワンホールのチョコレートケーキを持ってくる。




トワとジュンは目を輝かせて慌てて席についた。



「いっただっきまーす!」


皆で手を合わせる。




「うっめぇ!さすがナギ兄!!」

「うん、凄く美味しいね。」

「生クリームの甘さもほどよいです!!」

「わぁぁ!こんな美味しいケーキ初めて!」




皆口々に感想を述べる。




お皿に乗った各々のケーキが姿を消していく。




そんな中、誰よりも黙々とケーキを口に運ぶ男がいた。




大きなホールのケーキも山盛りに皿に盛られた生クリームもどんどん無くなっていく。




「もっらいー♪」





最後の一切れをかっさらおうとしたハヤテのフォークが空を切った。




一瞬早く、シンのフォークがケーキをかすめとる。




そしてハヤテに文句を言われる前に口に押し込む。そんなシンの姿はまるで子供のよう。





「あーっ!!シンてめぇ!」

「上手かった。」





静かに手を合わせると、ハヤテは相手せずに立ち上がりシンは航海室に戻る。




ジュンも手を合わせると急いで航海室に向かった。




「…どうした?」




ひょっこり顔を出すジュンを見ずにシンは問いかける。




「大した用じゃないよ。」




ジュンは海図とにらめっこするシンの横に座ると、シンの横顔を見つめた。








「シンさん。」

「なんだ?」

「あと何日で神秘の島に着くの?」

「そうだな、後2日もあれば着くだろう」

「シンさん。」

「なん―…」

シンの唇のすぐ横を生暖かい感触が触れる。




それはシンの口元を一舐めすると、ちゅっと音をたててゆっくりと離れた。




離れたと同時にシンがジュンの腕を掴む。




「…欲求不満なのか?」

「シンさんの口元におやつ付いてたから」




にっこりとジュンが笑う。


シンはジュンの笑顔を見ると何も言えなくなり、シンはジュンの腕を離すと、また海図に目を向けた。





「シンさん。」

「なんだ。」

「甘いもの好き?」

「あぁ」





「シンさん。」

「なんだ」

「キスしてもいい?」

「あぁ…ぁあ!?」

「うーそ。」



驚いて海図から顔を上げたシンに、ジュンはそっぽを向く。





猫のような女だな…


シンは不服そうにまた海図に目を落とす。





「シンさん。」

「…」

「ねぇ、シンさん。」

「…」

「シンさんったら」




目も向けず無言を決め込むシン。




すると、シンの頬に冷たい手が優しく触れた。




「海図なんかより、私だけを見て?」




ゆっくり、今度はシンの唇にジュンの指が触れる。





瞳はどこか切なそうにシンを映している。










…どうやらこいつには敵いそうにない。






シンは海図をたたむとジュンを抱き抱えベットに運んだ。
 

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