DREAM 恋海 シン

□涼しげな横顔
1ページ/1ページ





港を出向して2週間ほどがたったある日の昼下がり。




船長が航海室に全員を集めていた。






「あーっ!いつになったら目的地につくんだっ!」




イライラが募っているハヤテが机を叩く。




「落ち着きなさいハヤテ。で、シン?どれくらいかかりそう?」


ソウシも気になる様子。



「この前軍に阻まれて寄れるはずの港に寄れなかったんで、大きな港に寄るのはまだまだ先になりますね。」



シンが腕を組ながら答える。




「まだまだまか、ちょっと食料がもちそうにねぇな」


ナギが舌打ちする。




「それにこの炎天下…」







そこへ大きな音を立てて扉を開けてリュウガ船長が入ってきた。




「そうだ!この炎天下だ!はっはっは!お前等!港に降りれなくてつまらなくねぇか?」




皆は顔を見合わせる。




「シン!ここからは神秘の島が近いんじゃないか?」




海図を船長が指差し、皆が海図とシンを交互に見やる。




「近い…ですが、あそこは小民族がいるだけでほぼ無人島。寄るような島じゃ…」





「食料も尽きかけてる。酒しかない。小民族がいるなら、島には食べれる動物や木の実があるだろう。」





「お酒はあるんだ…。」





にっと笑うリュウガに何か企みを感じながら、こうして神秘の島に一行は向かう事となった。




「あちーっ!」





神秘の島に着くや否や皆は水着に着替え海に飛び込んでいく。




ジュンも後を追うが、泳ぐ皆からは少し離れて船の影で足だけ海水に浸した。



「気持ちいいー。」



一人で水を蹴っていると、後ろから手を引っ張られる。



「わぁっ!」



ジュンはバランスを崩して振り向き様に手を引かれた方によろけ、引っ張った主の胸に抱き留められた。




「泳がないのか?」




「シンさん!…私は水着が無いので。…シンさんは泳がないんですか?」




首を傾げるジュンにシンは「ガキじゃないからな」と苦笑すると、ひらりと女物の水着を差し出した。



「え…これ…」




ちらりと他の船員に目を向け、見えない位置に移動すると、頭の上に?を浮かべているジュンを抱きしめ、服の下へ手を進めていく。





「シンさん!こっこんな所でそんな!」




ジタバタするジュンから体を離し、ジュンの額を小突くとジュンは顔をしかめた。





「お前の期待には添ってないが…」





ジュンが慌てて自分を見ると、服の下にさっきシンが持っていた水着が着せられている。




「どうしてもとお前が言うならここでやってやっても…―」





「もぉ!シンさんのバカ!」





顔を真っ赤にして怒る姿も可愛いと思ってしまう。




「…でも、水着ありがとう」




少し照れたように見上げるジュンにシンは両手でジュンの顔を覆った。




「え!?シンさん!?」


「…そんな顔で俺を見るな。」





顔を真っ赤にしたシンが深く息を吐いた。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ