DREAM 恋海 シン

□愛しくて
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「おい、朝だぞ」


「ん…」


耳元で囁いてみたものの、身動ぎを1つだけして起きる気配が無い。




俺はベットに腰をかけ、ジュンに半身で覆い被さる。



「朝だぞ」




耳元にキスしながら、ジュンの耳を唇でついばむ。



「んっ…んん!?!?」




キスが耳から首筋、鎖骨まで降りてきた辺りでジュンの目がゆっくりと開く。





まだ寝ぼけた様な瞳が俺を捉えるが状況はまだ把握できていないようだ。





「しっシンさん?!」





慌てて手足をばたつかせるジュンの唇に自分の唇を押しつけると段々大人しくなっていく。




唇をゆっくり離しながら髪の毛を撫でるとジュンの瞳がうっすら開き、俺を映す。





シンはジュンの胸に顔を埋めた。






「…シンさん?」






そのまま動かなくなった俺に心配そうに呼びかける。






俺は返事の代わりにジュンの手をぎゅっと握りしめた。










好きだ

愛してる

愛しい

苦しいくらい

お前が俺の感情を占めてる

独占したい

閉じ込めてしまいたい

誰にも触れられないように

この瞳が俺以外の誰も映さないように

誰にも盗られないように

こいつの幸せを願う前に誰にも渡したくない

俺以外と幸せを掴むくらいならいっそのこと…



どうしようもなくジュンを想うこの気持ちの現し方も伝える術も俺は知らない。







「初めてだ…」






ぽんぽんと優しく頭を撫でられる。






「どこにも行くな…死んでも俺の側にいろ」



「…うん。死んでも私はずっとシンさんの側にいるし、生まれ変わってもまたシンさんに恋をするよ」






俺は初めて人を愛し、その愛しさに涙した。
 

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